■マニュアル総論 その2:業務マニュアル・操作マニュアル・OJT教育用マニュアルの違い

 

1 必要性が高まるOJT・教育用マニュアル

前回、3つの種類のマニュアルがあることについて書きました【⇒こちらを】。業務マニュアルと操作マニュアルの場合、実践する人がユーザーです。OJT・教育用のマニュアルの場合、指導する人がユーザーになります。そのため記述の仕方がかなり変わります。

業務マニュアルと操作マニュアルで、一番の違いは正解のあるなしでした。操作マニュアルが扱う操作には、こうしなくてはこうならないという厳格な決まりがあります。各人がどう思うか…というのとは違って、客観的に適切で正しい操作があるということです。

3種類のマニュアルは、それぞれ関連しながら利用されています。前回の初めの部分に記したように、OJT・教育用マニュアルがいま一番必要性の高いマニュアルと言えるでしょう。しかし必要性を十分に認識している組織は、まだそれほど多くありません。

 

2 利用者を絞り込むべき理由

たとえば操作マニュアルを作成しようとするとき、どう構成するか考えるはずです。まずユーザーは誰かということが問題になります。操作をする人がユーザーだというのが答えになるかもしれません。では操作する人全員をユーザーと考えるべきでしょうか。

よほど簡単な操作でない限り、操作をする人全員をユーザーと考えることは、合理的ではありません。これは間違いというべきです。パソコンなど全く触ったことのない人に、アプリケーションの説明をしても、効果が上がらないのは、想像できるはずです。

利用者をある程度絞らないと、いくらでも記述が必要になります。操作マニュアルを作る場合、スタートはここからです、そしてここまでを目指しますと、作成者が構想を立てて、それを組織が了承することによって作成計画がスタートするのが本来の姿です。

 

3 少数者に目を向ける必要

操作マニュアルを作るときに、操作をする人すべてをユーザーにして記述してはいけません。操作マニュアルを簡潔で使いやすいものにするためには、ユーザーを定義する必要があります。ユーザーの幅を絞らないと、冗長なマニュアルになってしまうからです。

問題は、操作が必要な人に向けて、操作マニュアルが作られているはずなのに、そのマニュアルのレベルに追いつかない人が出てくることです。おそらく少数派でしょう。しかし対策が必要なのは言うまでもありません。まずは別の入門書の作成が考えられます。

しかし、いわゆる「ビギナーのための入門書」があまり使われないことも確かです。そのため自社の製品を普及させるために、無料のセミナーを開いている事例もご存知でしょう。そうしたセミナーでの指導はいつも同じレベルでなされる必要があります。

セミナーで成果をあげるために、講師に対して、こういう内容をこういう手順で教えると決めておくことは効果的です。こうすればこれだけの成果が上がるという基準があるなら、ずいぶん教える側は楽でしょう。このときの指針がOJT・教育用マニュアルです。

⇒ この項続きます。その1はこちら。

 

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