■操作マニュアルを作る意義:操作性の基準というもう一つの理由

 

1 操作性とはどんなものなのか

どうして操作マニュアルを作成するのでしょうか。理由は明らかなようです。利用する人が操作できるようにするためでしょう。これで何ら問題ないように思えます。それで話が終わりになるのが普通です。しかしもう少し見ていくと、違う局面が出てきます。

何度も質問を受けたのは、操作性の問題です。どうしたら操作性をよくできるでしょうか。感覚的に操作できるものをつくれと言われているのですが、どうしたらいいのかわかりません…と。iphoneの影響が大きかったと思います。たしかに操作性は大切です。

こんな話もありました。操作性のことを言われるのですが、操作性の判断基準はどういうものか、わからなくなってきました。使いやすさをどうやって確認したらいいのか、上司に聞いてみたら自分で考えろと言われたので、上司も分かっていないと思います…と。

 

2 操作性の基準となる操作マニュアル

操作性ということを言われて、実際に操作性の良し悪しを検証するうち、どっちが使いやすいのかわからなくなるというのは、たしかにありそうです。当事者たちは、なんか違うという感覚ではなくて、もっとしっかりした基準が欲しいのだろうと思います。

そのときの答えは簡単でした。必要な操作を身につけるのに、操作マニュアルが薄くて、参照時間のかからない製品が操作性の良いものだとひとまず考えたらどうでしょうか…というものです。簡単に操作が説明できるようなものならば、操作性が良いのです。

操作マニュアルの説明の量と、利用状況の検証で、製品全体としての操作性がある程度わかるはずです。操作マニュアルの作成と製品開発を別々に行っているのが一般的ですから、こうした点を考えずに、操作マニュアルの作成で苦労しているのだと思います。

 

3 必要となるマニュアル自体の標準化

説明が難しいということは、操作性があまりよろしくないのです。そのつもりで操作マニュアルの記述内容を操作性の基準と考えてみると、改善策が見えてくると思います。実際にこれを行おうという会社が出てきました。今後に期待しているところです。

操作マニュアルの作成の場合、作成を標準化してしまえば、それほど面倒ではなくなります。作成のパターンを作って、なるべく作成に時間をかけないようにしたいものです。その点で最初が大切です。初めに標準化したスタイルを作ることが求められます。

スタイルを決めて、標準的なつくり方が出来上がっているからこそ、操作性の比較が容易にできるのです。かつての大手家電メーカーでは、取扱説明書をチェックして、品質テストを通過しなかったら、その製品の販売が停止になったこともありました。

そのためには基準がぶれないように、操作マニュアルそれ自体を標準化することが必要です。一般的な標準化と、製品範疇や製造元の事情を考慮した個別の標準化が必要でしょう。そうすれば操作マニュアルは、製品の総合的な評価基準として使えます。

 

 

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