■読解力をつける訓練の必要性:「アミラーゼ問題」続報

 

1 アミラーゼ問題:一流企業の方々の誤答率

先週末、「文章と文書」のセミナーを実施しました。このテーマでのセミナーの場合、参加される方の要望や実務経験など多様なため、講義内容が簡単に決められません。前日まで粘って、参考資料を多めに入れて、当日ご要望を聞いて講義を進めることにしました。

今回、印象的だったのは、参加者の過半数がグローバル企業の方々だったことです。一番の基本に帰って、仕事を見直す必要があったのでしょう。皆さんにお聞きしてみると、ビジネスでのコミュニケーション手段として、文章が重要であることをお感じでした。

まずはじめに、先日も言及した「アミラーゼ問題」をやっていただきました。全員が初めて見た問題だったようです。意外に知られていません。一流企業の人達に対して失礼にならないか、いささか気にしながらおつき合いいただきましたが、心配無用でした。

誤答率が7割です。セミナーを運営する専門家集団の方々も試してみたら、誤答率が8割だったとのことでした。誤答した人のほとんどが理科系なのは偶然でしょうか。話してみれば分かりますが、優秀なプロの方々です。それでも、こういう結果がでてきます。

 

2 やる気が決め手の読解訓練

アミラーゼ問題の場合、わかる人にとって、何が問題になるのかわからないはずです。高校の数学教師に問題を出したとき、すぐに正解を選んだあと、不満顔だったので、理科系の若者の場合、過半数が間違うことがあると伝えたところ、言葉を失っていました。

簡単な日本語が正確に読めなくては、コミュニケーションが取れないのではないかと心配になる人もいるはずです。しかし、チャンスだと思います。アミラーゼ問題のような解りやすいチェック問題があれば、訓練が必要だと言いやすくなるはずです。

大切なことは、読解力が身につけられるのかどうかのほうでしょう。数日では無理だろうと思いますが、本人にやる気があれば、数か月か1年で、圧倒的なレベルアップが可能だろうと思います。本人に訓練をする気があるかどうかが決め手になりそうです。

 

3 成果をあげる訓練法が必要

今回の講義では、先に文書の構成について語り、その後に日本語の文章を書くときのルールについてお話をしました。もう少し文章について時間をとったほうが良かったかもしれませんし、文章の解説を先にしたほうが良かったかもしれないと思いました。

セミナー担当者から言われたことが身に沁みています。文章講座という講座名にすると、レベルの高い人がいらっしゃらない、しかし本当に必要な人はこの人たちです、だから文書講座にしています、でも文章重視にしたほうがよいのです…と。

文書の構成はすぐに理解できますし、要約の方法も説明すると、すぐにまとめられるようになります。しかし同じ文書の形式を使って、自分の言葉で文章を書く演習になると、なかなか進みません。的確な一文が書けなくては、いい文書を作るのは困難です。

無意識のうちに、自然に読み書きができるようになるまで、繰り返し練習する必要があります。訓練不足が問題です。ブランドのある会社であっても、文章訓練が不足する人がたくさんいます。今回、基礎からの訓練法を確立する必要があると改めて思いました。

cf.  「アミラーゼ問題」の文がわかりにくい理由

 

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