■業務の全体像の把握: 業務フローの重要性 その1

 

1 業務を把握する手段

会社の幹部クラスの人と仕事の話をするとき、業務の把握をどうするかという話題になることがありす。業務の把握をするのはむずかしいことです。業務の全体像を把握して仕事をする…というのは大切なことに違いありませんが、どう実践したらよいのでしょうか。

仕事のできる人なら業務の把握が適切になされていますから、それを見るだけで誰がリーダー候補であるかといった、かなりのことまでわかるものです。そのため講義や研修などで、自社の業務を簡潔に文章にまとめてもらう演習をすることがあります。

ただ、業務マニュアル講座や研修を行ううち、業務の全体像を言葉で表現するだけでは、どうも弱いと感じるようになってきました。そのため業務フローを作成することを取り入れるようにしています。自社の業務ですから、フローにできなくては困ります。

 

2 業務フロー作成に難航する理由

自社の業務だったら、業務フローが作れるはずなのですが、実際に描くとなると難航します。サンプルを示して、「こういう感じの全体像を示す業務フローがあれば、業務の把握がしやすくなりますね」…と確認したうえで、描いていただくことになります。

なぜ業務の全体像を業務フローにするのに苦労するのでしょうか。原因は単純なことです。慣れてないから…ということにつきます。業務の全体像のような、大きな視点で業務を見てフローにした経験がほとんどないということです。慣れれば描けます。

業務というのは人間が行うものです。これが大原則ですので、理解しておく必要があります。電子レンジに調理する材料を入れて、時間・温度の設定をしてスタート・ボタンを押すのは人間のすることですが、調理は機械の仕事ですから業務ではありません。

人の業務を業務システムに置き換えてたという意識があるためか、業務システムが行う処理を業務と同一視してしまう人がたくさんいます。業務システムが行う処理は、人間の仕事ではありません。業務フローに記述するのは人間の仕事だけだということです。

 

3 業務の理解が明確になる効果

業務の全体像を見るときに、必要となる集団はいくつあるでしょうか。これを数え上げなくてはいけません。自社の部門と取引相手、お客さんは必須でしょう。取引相手は一系統でしょうか。どういう取引をする相手なのかを明らかにする必要があります。

組織の業務全体ということになると、事業系統図という言い方をする場合など、業務フローとは違う名称になっている場合もあるでしょう。これらが業務フローの一種であるかどうかは、流れがあるかどうか、フローになっているかどうかで決まります。

業務フローの場合、業務の流れを示すものです。自社・顧客・取引先などの間に仕事が生じ、それぞれの仕事には方向が与えられます。その仕事の担当者が行うものが業務です。どんな業務が、誰から誰へと流れているのかを矢印で表現することになります。

業務全体のフローを描いた人は、業務の理解が明確になったのを感じるはずです。たくさんの取引会社があるため、とても複雑なことをしているように思っても、同じ仕事をしていることもあります。全体像が見えた人には、様々な変化が表れてくるものです。

(この項、続きます)

 

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