■マニュアルの電子化:その前提

 

1 必須となる電子化を前提とした作成

先日、マニュアル全般についての講義をしてきました。少人数ですので、参加者の要望に合わせて内容に濃淡をつけることになりました。受講された中に、マニュアルの電子化について、どう対応したらよいのか気になっていた方がいらっしゃいました。

現在、紙のマニュアルをお使いでも、いずれ電子化したほうがよいのではないかとお考えの組織がかなりあると思います。今後どうすべきかということになると、結論はもう出ているのではないでしょうか。電子化を前提とするしかないということになります。

電子化の流れはもう後戻りできないところまで来ているということです。様々な変化が早くなっていますから、マニュアルを改訂することが前提になります。改定を前提にした場合、電子化マニュアルのほうが迅速な対応ができるため、有利だということです。

 

2 利用者の工夫がしにくい電子マニュアル

現在、マニュアルを紙に印刷して使用しているという組織でも、マニュアルが電子化される前提で作成方法を考えておくことが必須だと思います。紙に印刷するか電子化するかわからないときでも、電子化されることを想定して作っておくべきであるということです。

当たり前かもしれません。マニュアルを電子化するほうが紙のときよりも難しいからです。電子化されたマニュアルの利用方法を考えてみれば、分かると思います。電子化されたなら、マニュアルへの書きこみや色づけなどの加工がしにくくなります。

マニュアルを使う人が個別の対策をとりにくくなるのです。紙のマニュアルならば、出来あがりが多少悪くても、利用者の側の工夫で、補正して何とか使えるようにしてもらえます。しかし電子化するとき、出来が悪かったら使われなくなるだけです。

マニュアルを電子化して失敗した例がすでにかなりあります。紙のマニュアルをPDF化してタブレットで利用しようとした会社がありました。その結果、工場での利用がほとんどなくなったのです。この場合、まず紙に戻してから今後を考えるしかありません。

 

3 本格的するマニュアルの電子化

マニュアルの電子化が簡単にいかないのは、電子化されたマニュアルを画面で見なくてはいけないという点にも原因があります。私たちは画面を凝視することをしません。紙を見るときのように、読むことができません。どうしても眺める感じになります。

したがって、内容が明確になっているだけでなくて、さっと見てわかりやすい見え方になっていないといけないのです。文章が問題になりますし、図も問題になります。説明する分量も問題になります。乗り越えるべき項目が多いのです。

同じ電子化の場合でも、PC画面で見るのと、タブレットで見るのとでは違います。PC画面で見る場合、目からの距離もありますし、画面が縦に置かれるはずです。タブレットならば、画面は資料を見るときと同じ横置きになります。目からの距離も近くなります。

紙の資料を見るときに類似した様式が使えるタブレットには、PCより有利な面があります。タブレットの今後にも注目しておかなくてはいけないでしょう。まだ電子マニュアルは確立していません。これから本格的なマニュアル電子化の時代がやってきます。

 

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