■業務マニュアル作成:業務記述の前提条件 その1

1 業務マニュアルと報告書・提案書

業務マニュアルの概念を明確に定義するのは意外に難しいことです。簡単には定義できませんが、ほかのビジネス文書と比較してみると、わかりやすいのではないかと思います。たとえば報告書や提案書と比べて、業務マニュアルはどう違うのでしょうか。

一番大きな違いはベクトルでしょう。報告書も提案書も組織の一員として働く担当者が組織に向けて書くものです。担当者個人(あるいはチーム)から組織に向けて書く文書です。これに対して業務マニュアルは、組織から各担当者に向けての文書になります。

したがって組織全体のマネジメントと別個に業務マニュアルが存在することはありません。業務マニュアルを作成する人は、組織の社会的責任まで考えるべきです。自社のHPにある企業理念やCSRがどう記述されているのか、まずは確認してみましょう。

 

2 業務マニュアルと操作マニュアル

それでは、業務マニュアルと操作マニュアルはどう違うのでしょうか。作成の難易度はどうでしょうか。単なる作業手順書ではなく、一定以上広い領域の業務マニュアルを作成しようとしたら、操作マニュアルよりも数倍程度、難易度が高くなるだろうと思います。

操作には正解がありますから、それをわかりやすく説明することが操作マニュアル作成の中心的な問題です。これに対して業務のむずかしさは、正解がないことです。正解がないためつねに、より良きものへと変更する形式を整えておく必要があります。

正解がない業務を安定化させるのは、業務の目的を明確にしようとする努力です。業務の目的は最初から明確なものではなくて、業務を通じて洗練していくことがしばしばあります。業務には正解がないからこそ、目的を明確にしようとする努力が重要になるのです。

 

3 業務を記述する条件

業務マニュアルを作成しようとしたら、組織のマネジメントに関心を持たなくてはなりませんし、組織全体を考えて業務を構築していかなくてはなりません。すでに現状の業務が整備されている場合でも、そのまま記述することはほぼ無理だというべきでしょう。

業務マニュアルを作成する過程で、多くの人が戸惑うのは、現在行われている業務体系をそのまま記述しようとしても、どう記述すればよいのかわからないという点です。話し言葉を書き言葉に変える変換作業よりも、数段大きな変換作業が必要とされます。

業務の目的を記述し、その業務の手順を記載しようとしても、簡単にはいきません。一定領域の業務を記述しようと試みたなら、業務が複雑な鎖のように絡み合っていることに気づくはずです。業務は大小のプロセスが複合的に組み合わさった概念だというべきです。

こうした複合的な構造を持つ業務を記述するには二つの条件をクリアしなくてはなりません。一つは各業務が鎖のように完結していること、もう一つは各業務がある一定の大きさにそろっていることです。これらの形式を整えてから記述していくことになります。

☆ つづき ⇒[その2]

 

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