■デフレの終焉を思わせる宅配の見直し:『小倉昌男の人生と経営』を参考に

 

1 宅配便の見直しは大変化の兆しか

ネットでの取引が増えたらどうなるか、10年以上前から宅配がポイントになると言われていました。私たちも勉強会で、宅配便業者とコンビニに焦点を当てて今後を展望していました。ついにヤマト運輸が配達の仕組みを見直します。大変化の兆しかもしれません。

宅急便を始めた小倉昌男に『小倉昌男の人生と経営』という本があります。「お客様との約束は必ず守る」という項目には[約束は、どんな困難な状況が訪れようとも全力を挙げてやり遂げなければならない]とあり、次の項目は「お客様に言い訳をしない」です。

実際に成果を上げて宅急便は成功しました。[何でも運ぶのではなく、小さな荷物、小規模な運送にしぼり込む]という[シンプルな経営形態をとること]で成功したのです。しかし取扱いが増えるにつれ、荷物の仕分けとドライバーに負荷がかかっていました。

 

2 「ドライバー=サービス力」となる運輸業

運輸業の基本について、小倉は先の本で語っています。運輸業でも[トラック輸送でいえば、一台のトラックに積める荷物の量は決まっている。そのため保有するトラックの積載量の合計と、運転するドライバーの人数によって売り上げの上限が決まる]のです。

そうなると、当然のことですが、[「ドライバー=サービス力」であり、ドライバーとトラックを増やさなければ、売り上げを伸ばすことは出来ない]のです。したがって、[大事なのは、すべてのトラックを満載にする営業力]と考えることになります。

小倉は[ドライバーの立場からすれば、売り上げが上がるほど「仕事がたいへんになる」と考えてしまう]けれども、[しかしそれは、目先のことしか考えていないからである]と語っています。小倉の考えと現実との齟齬はどうして起こったのでしょうか。

 

3 デフレの終焉と小倉の長期的ビジョンの関係

扱う荷物の数が増えすぎて、ドライバーをはじめとした社員たちに負荷がかかるようになっています。そのため今回、宅配の方法が見直されることになりました。なぜ小倉は、負担が増えないと考えたのでしょうか。「ビジョンを示す」という項目で言います。

売り上げがどんどん上がれば、その地域のトラックの台数を増やすことが出来る。トラックが増えれば、一人のドライバーが担当するエリアが小さくなり、一日に運ぶ荷物の数は以前と同じだったとしても、集配にかかる労力は大幅に減る。そういう長期的ビジョンを、リーダーは部下にきちんと説明しなければならない。

実際のところ、リーダーが長期的なビジョンを説明することなどできなかったでしょう。小倉が前提としていたドライバーの確保がもはや簡単にいかなくなったのです。待遇を改善しなければ人は集まりません。デフレが終わる可能性を感じさせる出来事です。

すでに小倉は語っていました。[核家族化が進んだ現代においては、配達先の約半分は留守の可能性が高い][気づかないうちに、宅配便へのニーズが変化していた]。近所のコンビニに取り置いてもらうなど、新たな宅配の仕組みが必要になっているのです。

 

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