■学生の企業の見方:彼らの言う良い会社の条件を探る

 

1 残業の少ない会社がよい会社

内定をもらって、時々会社に行っている学生たちと話してきました。20人くらいの人たちです。会社がどんな状況なのか、学生の感想を聞いてみると、それももっともだと思うことがありました。就職に成功したはずの人から、思ったのと違うという話があります。

若者は残業が多すぎるのを嫌います。若者に限らないのかもしれませんが、おそらくその上の世代が仕方ないと考える許容範囲とかなり違っています。常識を超えた仕事量を要求されることに対して、人間的でないと強く感じる様子です。自然な感覚でしょう。

現在、人手不足の状況にある会社も多いらしく、社会に出てあまりに仕事、仕事の状況になることに戸惑っている感じでした。彼ら彼女らの良い会社というのは、第一に残業の少ない会社だったのが印象に残りました。会社だけの生活が考えられないのでしょう。

 

2 不合理なルールが嫌われる

たしかにおかしなこともあります。かなり名前の知れた会社でも、月30時間までの残業には残業代を出さないというルールがあるとのこと。アルバイトをした経験のある学生なら、おかしいとすぐに感じるはずです。この感覚は正しいというべきでしょう。

求人倍率が高くなると、いままでよりも学生側の目が厳しくなります。すでにかつての優良企業で、ここ1年で先輩たちがどんどんやめていると名指しされた会社もあります。昨年、二次募集までして大量採用したのは、業績好調のためではなかったようです。

上場企業ですから業績が見えます。それを見ると、アッと思います。よくないのです。ブラックと呼ばれた会社の業績がおかしくなる例は知られていますが、そう言われていない会社でも異変が起きているようです。ここでは不合理な指示が嫌がられたようでした。

 

3 業務の合理性が人材確保に影響

いわゆる体育会系のノリで…と学生が言います。精神論を前面に出して、合理性のあまり感じられない指示が多かったようです。上場企業ですし、まだブランドは毀損されていませんから、今なら別の会社が見つかります。数年前の先輩が辞めだしているのです。

一方、マルチタスクを要求する会社がありますが、大変だけど勉強になる、全体がわかるのでこのほうがよいと、早くも定期的に働きだした学生が言います。ここでの業務はきわめて合理的で効率の良い仕事の仕方らしく、学生は、それを好ましく感じていました。

効率化しているので残業がそんなに多くないですと、学生は言います。だんだん聞く側の自分が乗り出していくような感覚になってきました。業務をきちんと整理していない会社が、不合理性とその結果としての残業の多さで敬遠されているのかもしれません。

1年前の学生からは、とりあえず入ってみて…という言葉がよく聞かれました。あの時と明らかに違ってきています。高い求人倍率・低い失業率の影響なのかもしれません。業務を整理して、合理的で効率的な仕事にすることは、人材確保にも好影響がありそうです。

 

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