■組織学習の方法について:若い人向けのささやかなヒント

 

1 当事者を誘導すること

夏休みの講義の際、出席カードにコメント欄がついていました。ところがほぼ白紙のままの提出になっています。これはもったいないことです。さっそく、この欄に質問でも要望でも何でもよいから、思いついたことがあったら書いておいてと学生に伝えました。

3割くらいの学生が記入をするようになりました。コメント欄があるなら、黙っていても何かを書いてみればよいのですが、遠慮している様子がみえます。何も言いたいことがないのではありません。書いてもムダかなあ…という感じもあったのでしょうか。

従来と仕様の違う出席カードですしコメント欄に記入するように言われていない以上、勝手に判断するのはどうかなという感覚が学生側に生じたのかもしれません。それならばコメントを推奨する旨を伝えれば済む話でした。こちらから誘導することが必要です。

 

2 制度の趣旨を説明すること

次回の授業のときに、出てきた質問に対応しました。よい質問が出てくるものです。出席表にコメント欄を設けている趣旨を説明するだけで、様子が変わります。やる気があるならコメントを書くはずだという人もいますが、実際のところかなりの違いがでます。

実際に記入したものに対して講義で答えが示されることによって、講義の雰囲気が変わってきます。会社でも同じではないでしょうか。何人かの人から、会社の制度として外部のセミナーへの参加を推奨しているのに、参加者が少ないという話を聞いています。

会社ごとに理由が違うかもしれませんが、制度がどういう趣旨であるのか、しっかり説明している会社が少ないようです。上手に説明し、参加者の成果物を利用する仕組みがあるなら、学習効果が違ってくるはずです。いい仕組みづくりが重要だと思います。

 

3 効果的な方法だと納得してもらうこと

いわゆる「異文化交流」が増えてくることを前提にするなら、今後「当たり前」のことでも説明しておいたほうがよいケースが多くなるように思います。さまざまな機会に、成果をあげるための条件を探っていくと、何が大切なことであるかが見えてきます。

例えば基礎訓練で成果をあげた方法は、きわめて簡単なものでした。問題演習をして、すぐにチェックします。そのとき、わからない人は友達に教えてもらうことにしました。私への質問も認めながら同時に、教室を回って順調かどうか様子を見ていきます。

一定期間を経過したら復習します。忘れることを前提にします。忘れたら、また教えてもらうのです。この繰り返しで実力アップの自覚がもてます。各集団ごとに、どういう方式がよいのかは違うでしょう。全体を見てよい方法を作り上げることがポイントです。

当事者の希望を取り入れながら、各集団に合った方法を見出し、仕組みにしていくことが大切になります。ステップ形式にするなど効果的な仕組みにすることが、指導側の腕の見せどころです。効果的な方法で学習しているとの納得があれば、成果はあがります。

 

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