■プレゼンで使う言葉:『すぐに解決! プレゼンテーション』を参考に

 

1 eメールの文章形式で話す

ロス・ジェイ『すぐに解決! プレゼンテーション』という小さな本があります。目的は、「時間がなくても手の込んだプレゼンのように見せるにはどうすればいいのか?」というものです。目的がナンセンスですから、この点に関してあまり期待できません。

しかし全7章のうち、5章「言葉やフレーズを選ぶ」は役に立つはずです。<プレゼンテーションの草稿をeメールのような調子で書いて>みたら…とアドバイスしています。原著は2001年に出たものです。eメールの影響をかなり早い時期に察知しています。

英語でも、<従来、書き言葉と話し言葉には大きな開きがあった>が、<ここ数年で事情が変わってきた。eメールが普及したからだ>と指摘します。報告書やレポートなどと比べて、<くだけた言葉遣いをする>点がプレゼンに向いているのです。

 

2 表現法…4つの秘訣

プレゼンで使う言葉は原則として「話し言葉」です。4つの秘訣をあげています。秘訣1は<言葉と文を短く>です。これは英語でも同様か…という程度で十分でしょう。一文の長さを一定以下にすべしというアドバイスを、お聞きになったことがあるはずです。

秘訣2は<漠然とした表現は避ける>というもの。「移動手段」という代わりに「自動車」とか「バス」「電車」「タクシー」など具体的なものにした方がよいというアドバイスです。「状況」というなら、その内容を具体的に示すべし…ということになります。

秘訣3は<能動的な表現を用いる>、つまり受身表現はやめるということです。「予算は守られた」ではなくて「予算を守った」という表現がよいことになります。秘訣4は<専門用語、業界用語を避ける>というものです。「なるべく避ける」でもよいでしょう。

 

3 いまどこにいて何を話しているのか

さらに大切なアドバイスがあります。<プレゼンテーションでは、話題の変わり目や前後のつながりがよく分かるように、絶えず聞き手にサインを出>すことです。聞き手が、<話の展開を先取り>できるように、上手なサインを出す必要があります。

例えば、理由を<順に挙げていくのではなく>、理由がいくつあるか、その数を<伝えてから個々の理由を述べ>ていく方がわかりやすいでしょう。大切なことは、<話の流れの中でいまどこにいるのかを、常に明確にしておく>…ということです。

同様に、<話題の流れだけでなく、文と文のつながりについても><サインを示すべき>でしょう。例えばこんな風です。<ディケンズはヒゲを生やしていましたね。同じようにソクラテス、ドレーク、リンカーン、ヘンリー八世もヒゲで知られています>。

<聞き手をうまく道案内するには><事例を効果的に用いる>こともよい方法です。適切な事例があると具体的なイメージが膨らみます。あるいは「比喩」や「喩え話」も場合によっては効果的です。以上、日本語のプレゼンにも妥当する内容だろうと思います。

 

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