■履歴書に書く自己PRと志望動機

 

1 「自己PR+志望動機」=?

就職活動をするとき、履歴書に自己PRと志望動機を書きます。なぜこの二つを記述するのでしょうか。学生に聞いて見ると、知らないと言う人がほとんどです。活動中の学生も特に考えることなく、何となく書いているという例が多く見られます。

その結果でしょうか、ときどき何で…というような相談があります。若者らしく、気持ちのいい学生がいました。一番行きたい会社から連絡が来たのだけれども、どうしたらよいのかわからないので、あとで相談させてほしいと言って来ました。

東証一部上場の会社に面接に行ったところ、会社の担当者から、あなたの人柄のよさは判ったけれども、なぜうちの会社で働きたいのか判らないので、A4一枚以内のレポートを出してもらえないかという連絡があったということでした。

 

2 志望動機の聞き取り

学生は、この会社が好きになって近県の店舗をすべて訪れていました。しかし本人の最初の説明では、何となくよい…というだけです。これでは担当者からレポートを出して欲しいと言われても不思議はありません。文章にしないと頭の中も整理されないでしょう。

彼から聞き取りを始めました。たくさんのお店を回ったのは彼の感性に引っかかるものがあったからでした。自社開発した製品を販売している会社です。店ごとに特色があり、値段が安いのに、デザインがシンプルで同業他社の製品より圧倒的によいと言うのです。

それで、なんで行きたいのと聞いたのですが、わからないとの答え。何度か助け舟が必要でしたが、お客様によいものを提供できるので、この会社なら誇りを持って仕事ができるというのが志望動機でした。ここまで来れば、何度もお店に通っているので書けます。

 

3 会社と個人のベクトルあわせ

自己PRと志望動機は一体となって、自分を売り込む大切な道具になります。自分の強みを生かせるように、自分の可能性を具体的な裏づけとともに示すのが自己PRです。一方、志望動機は相手の会社のどこがよいと思ったのかを記すものです。

会社側も、志望者の個人としての魅力とともに、会社に入って活躍してもらうための要素があるかどうかを確認しなくてはなりません。個人の魅力を自己PRしてもらうとともに、会社にどんな期待を持っているのかを確認するために、志望動機が必要になります。

会社という組織が社会に存在する価値も、組織の中で個人の能力を発揮することによって、個人の自由な活動だけでは成し得なかった成果を上げるところにあります。そのため、会社の目的と個人の生き方のベクトルが合うかどうかの確認が必要です。

ドラッカーはキルケゴールとの格闘の中から、個人と社会との共生を見出したようです。『経営者の条件』の中で、できる人は、<組織の成果に対する社会の客観的なニーズと、個人の自己実現のニーズの双方を満たさなければならない>と語っています。

 

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