■業務マニュアルの作成のために問うべきこと:2つの質問

1 どこから手をつけるべきか

業務マニュアルを作ろうと思いながら、どこから手をつけたらよいのかわからなくて、立ち止まってしまう例がよくあります。秘書をしていた人からの相談に対して、全ての業務を記録してもらうことからはじめた話を書きました[⇒業務マニュアル作成の基礎]。

自分が行っている業務の仕組みがわからないときには、「何時から何時まで何をしているのか」を書かないと、自分のしなくてはならない業務が何であるのか、見えてきません。この場合、業務の範囲を限定して、その業務の全体像を把握しようというものです。

では、この方式を全社に広げたら、どうなるでしょうか。おそらく、どこから手をつけたらよいか、わらなくなるはずです。結果として、全社の業務が網羅される必要はありますが、最初にどこから手をつけるべきか、ある程度決まっていないと困ります。

 

2 ラーキンの時間管理の法則

ラーキンは『ラーキンの時間管理の法則』で、<経営学の本に、自分の時間を入手する方法は毎日24時間、何分何をしているかを記録に取ることである、と書いてあった>のに反対して、<大きな負担になるだけでなく、時間の浪費であると思う>と記します。

その代わりに、<異常に多量の時間を浪費していると思う特定の項目について、時間の記録をとる。選択して時間を監視するほうが、はるかによいと思う>という提案をしています。時間に限らず、鍵になる項目があるという洞察がここにはあります。

ラーキンはさらに、<「現在、自分の時間を最大限に活用するにはどうしたらよいか」という質問>をしてみることを勧めています。<たいていの場合、第一番目のもの(そして即座に出てくるもの)が最善の答えであって、それを受け入れるとよい>と言います。

<間違っている可能性はいつでも存在する>という留保をつけながらも、どこから手を着けるべきかを決めなくてはいけないし、それは決められるという考えを採っています。業務の把握も、鍵になる項目があるはずです。そこから手を着けるのが王道だと言えます。

 

3 基本的な2つの問いかけ

なぜ業務マニュアルを作る必要があるのか、以前書きました[⇒業務マニュアルを作る価値]。複雑な業務を把握する必要があるからというのが、一応の答えになります。組織をマネジメントするには、業務を把握している必要があるからです。

したがって、ここにいう業務マニュアルには、業務の目的と、それを実現するためにとられる業務の仕組みと流れが記載されることになります。その点からすると、作業手順を書いただけの業務マニュアルは、十分な機能を発揮できないと言うべきでしょう。

苦労して業務マニュアルを作り始めるなら、本来マネジメントを行う責任者が、どこが重要で、どこが組織の強みになっているのかを考えて指示を出すべきなのです。多くの場合、作成作業は別な担当が行いますから、作成者はこの点をよく聞かないといけません。

実際のところ、業務マニュアルをどこから作り出すか…という問いかけが責任者にいくところから、業務の再定義がはじまります。(1)問題点のあるところはどこか、(2)組織を最大限に活用するにはどうしたらよいか、こうした点から考えていくことになります。

 

4 追記

業務マニュアルは、経営層の視点で書かれます。現場で働く人にとって、よい条件でないと成果があがりませんので、現場の意見が反映されなくてはいけませんが、経営層の最終的な了承が必要です。業務マニュアルの作成には、トップからの視点が不可欠です。

ラーキンの時間管理の主張は、自分が自分の時間を有効に使うためにどうしたらよいかの提言でした。自分のなしていることの大枠を把握しているという前提があります。業務に関しても、部門のリーダーは大枠を把握している必要があります。

業務の全体像をつかむことは前提条件です。そのために、業務フローが必要となります。業務フローがあってこそ、2つの問いかけが有効に働くことは言うまでもありません。この件、何度か書いています。以下をご覧いただけましたら幸いです。

■全体像を把握する方法:業務フローの必要性
■業務フローの威力

 

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