■尖がった自己アピールを:就職活動前の学生との対話

 

1 引きだし役が必要

学生が自己アピール作りに苦しんでいます。自分の書いたものに、自分でも満足していません。誰でも書けるような内容です。おそらく9割を超える割合で、差しさわりのないことを書いています。でも本人達は、どうしたら良いものになるのかわからないようです。

こうした状況から突破しそうな人達が何人か出てきています。この人たちは、どうやって尖がりを出せる様になったのでしょうか。残念ながら、自分では探せませんでした。その人のよいところを見つけだす「引きだし役」が必要だろうと思います。

最初は自分で思いつきをたくさん書いていくしかありません。思いつく自分の印象的な経験を箇条書きにしていきます。これをしてもらうと、驚くべき状況になります。ほとんど全ての学生が3つくらい書くと、もうない…と言うのです。さてどうしましょうか。

 

2 成功の要因を書き出す

何かを思い出すとき、連想を働かせることによって、次々、関連情報を思い出した経験があるはずです。そのとき印象的な事柄だけを並べようとすると、何個かでつまってしまいますが、その印象的な事柄の細部を掘り下げていくと、思いつきがふくらみます。

成功事例があった場合、なぜ成功したのかを書き出してもらいます。多くの場合、成功した事例を言うだけで終わっています。こういうケースでこうなったという結果を示すだけでは、あまり意味がありません。一番大切なことが抜けています。

成功の要因が大切です。学生に聞いてみると、その要因ならすぐに3つ4つとあげることができます。信じられない成功をしている学生がときどきいます。その要因を聞くと、どうやって身につけたのか…と思うようなことを語りだすケースがあります。

 

3 イメージできる聞き取り

一人の学生は、高校入試での成功を語りました。地域で有名な難関校の華やかな部活動にあこがれて、その学校を志望したそうです。ただ偏差値が大幅に違いました。でもあきらめきれない、その学校で部活動する姿が頭にちらついて離れなかったということでした。

部活動をするイメージがあると、問題集をするのが苦でなくなるらしく、膨大な努力が自然にできてしまったそうです。合格は周囲を驚かせました。この経験から、この学生はイメージをすることによって努力ができることを学んだようです。

その後のアルバイトで、このイメージの活用が生きていました。お客さんの要望をイメージできるように聞き取らないと心配だったと言います。その実績を聞くと、何でこれを言わなかったの…という内容でした。この人は桁外れの営業成績を上げていました。

専門科目とは関係ないアルバイトのことなので語らなかったそうです。この学生は、すばらしい聞き取りと対応を実践していて、偶然の成功とは思えません。営業マニュアルにもできそうです。今回、イメージできる聞き取り…というアイデアを私も得ました。