■業務システムを有効に使うために

 

1 業務システムの利用のされ方

何年か前に、システム会社の部長さんが、社内にマニュアル部門を立ち上げたいと言ってきたことがあります。自分達が作ったシステムが十分に効果を発揮していないと言うのです。操作マニュアルを作る部門を作って、利用の統一を図りたいということでした。

せっかくの業務システムが、統一した利用がなされていないために、必要なデータが取れないことがよくあるそうです。利用のされ方に問題ある事例があまりに多かったため、マニュアル部門を立ち上げたいと思うようになったそうです。

あるとき、システム更新の際に挙げられた仕様変更の要求項目を見て、仰天したとおっしゃっていました。すでに可能な機能ばかりだったそうです。システムを見直すことよりも、使用法を再検討したほうがよいのではないか、というご相談でした。

よいアイデアだと思いましたが、残念ながら、この企画は頓挫しました。当時、システムを導入する会社側に、システム利用のルール作りによる利益の大きさを、上手に説明できなかったようです。しかしその後、徐々に状況は変わってきています。

 

2 操作マニュアルの必要性

操作マニュアル作成講座を受講する人の過半数は、自社の業務システムの操作マニュアルを作る目的のためにいらっしゃいます。企業側もせっかく導入したシステムを十分利用していないと、感じているのです。

こういうニーズがありますから、操作マニュアル作成に関して、記述の仕方だけを講義で語っても仕方ありません。使い方のルールを考えるところから始めるのが正統な手順です。ただ、簡単に説明しておいて、質問を促すことにしています。

作成者がその気にならないと、どうにもならない問題なのです。ルールを作るためには、業務を把握する必要があります。業務フローに加えて、簡単な業務マニュアルまで作らないといけなくなるでしょう。そうなると、会社側にお墨付きをもらわないといけません。

 

3 業務の把握と見直しが必要

杉浦和史は、コスト削減効果について、興味深い資料を紹介しています[業務改善と業務改革]。コスト削減の8割が、業務改革と改善によって実現したというものです。IT技術の貢献が2割ということになります。

意識のある会社の方々は、すでに気がついています。ご相談内容が、だんだん明確になってきています。業務を把握する必要がありますね、そのためには書かないとダメなのだと痛感しました…というお話をなさいます。

大手の研修で多いのが、業務を記述するための基礎訓練です。記述のためには、それに先立って、どういう手順で考えていけば良いか…ということが問題になります。そのためには、基本的な記述のスタイルを練習することです。それをさらに高度化していきます。

業務システムを導入する前に、業務を把握して業務を見直すことは、当然なされるべきことです。システム導入が必要なところと、不要なところがでてくるはずです。さらに、システムをどう使うのか、ルール作りが必須のものとなるはずです。

 

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