■業務マニュアル作成講座[2015年後期]を終えて
1 マネジメントとの関連項目
業務マニュアル作成講座を行ってきました。本来地味な分野の講座なのですが、平均を超える数の受講者が参加くださってうれしく思います。ただ、それだけ多様なご要望がありますので、むずかしさを感じます。
毎回、一部の方からマネジメントとの関係を聞かれます。研修でもマネジメントとの関係に焦点を当ててほしいというお話があります。そのため今回は、テキストにマネジメントに関係する内容を少し入れてみました。これが難しいという人もいたようです。
業務マニュアルといっても、作業手順を記したものと業務全般の指針となるものがあります。後者が重要になってきているので、ご質問があるのだろうと思います。とはいえ、いまでも多くの場合、作業手順を記したものの作成が中心になっています。
2 業務を記述することが基本
少し前に、「業務マニュアルにおける鳥の目と虫の目」について書きました。全体を鳥瞰する鳥の目の獲得が重要なのは間違いありません。それと同時に虫の目の視点から業務をきっちり記述できることが、基礎になります。
この点は、学問の基礎にもなっています。山崎正和が『日本語の21世紀のために』で、<生物学や地学といった学問は、物事を記述しなきゃいけないんですね。文科系の学問もほとんどすべてそうです>…と述べています[思考の道具としての言語]。
山崎正和は、かつて入学試験に、写真にある様子を見た通りに記述せよ…という問題を出したそうです。映像を文字に言語化する作業というのは基礎的で、欠かせないスキルです。業務を書くときも、行われている通りに言語化することが基本になります。
3 記述の形式を意識する
業務作業を記述するときに、どういう仕組みになっているのか、それを記述するのにふさわしい形式がどんなものになるのか、こうした視点が必要です。例えば、漏れのない作業をする場合、その前提としてチェックリストを作っておくというのはよい方法です。
逆に漏れのない作業にしようとしたら、チェックリストに出来るかどうか、検討してみるのも一案です。記述の形式が、作業を整備するのに役立ちます。作業をステップごとに記述していく際にも、記述の形式を意識的に行わないと、わかりにくいモノになります。
作業をステップにして行くには、業務にスタートとゴールを設定して、その過程をいくつかのステップにまとめる必要があります。各ステップは記述者が設定することになります。料理のレシピを頭に浮かべると、それがお分かりになると思います。
料理レシピの場合、料理の作り方が簡単でわかりやすくて、おいしかったらすぐれたレシピだということになります。業務マニュアルの記述もおなじです。演習の様子を見ながら、こうした記述の基礎練習をもう少し増やしたほうがよいかな…とも思いました。