■マネージャーからリーダーあるいはエグゼクティブへ:管理の対象の変化

 

1 マネージャーという概念

マネージャーという語には、管理職とはやや違ったニュアンスがあります。日本では、管理者をあらわす言葉として、マネージャーという語はしっくりこなかったようです。極端なことを言えば、今では管理職というより、部活動のマネージャーに近い概念でしょう。

1972年刊行のドラッカー全集(ダイヤモンド社)を見ていたところ、別冊の中で、野田一夫教授(当時、立教大学)が、ドラッカーのマネジメントについて、興味深い証言をなさっていました。以下のようなものです。

ピーター・ドラッカーのマネジメントのなかには、エグゼクティブという概念は出てこない。マネージャーなんです。それがこの10年ぐらいでエグゼクティブという概念になっている。マネージャーだが、エグゼクティブでない人もいるということですね。

ドラッカーのマネジメントというのは、主に『現代の経営』(1954年刊)のことだろうと思います。マネージャーという概念が当てはまっていた時期が過ぎて、徐々にエグゼクティブという言い方がふさわしい時代になってきたということでしょう。

 

2 管理対象の変化

野田説では、『現代の経営』でのドラッカー・マネジメントの考えが、1960年代に入ると、徐々に変化しだすということです。1967年刊の『経営者の条件』になると、たしかに変化を感じます。発言後の1973年に出た『マネジメント』でさらに変化しています。

その後、時代が後からついて来るように、1980年代以降、マネージャーという概念が使いにくくなります。ドラッカーは、マネージャーという用語をやめ、エグゼクティブという言い方のみになります。同じ時期、ジャック・ウェルチは、リーダーと言っています。

エグゼクティブやリーダーという概念は、マネージャーと同様、管理者という側面があります。統率者として全体を見なくてはいけない存在ですから、当然です。しかし、何かが大きく違います。管理するものが変わったと言えそうです。

 

3 業務の仕組みの管理

ドラッカーは、<マネジメントを評価する究極の基準は、事業上の成果である>…と『現代の経営』で書いています。管理の対象は目標です。各人に自分の目標管理を求めるとともに、マネージャーの場合、全体の目標を管理する役割があります。

1964年に出されたロバート・Rブレーク『期待される管理者像』(THE MANAGERIAL GRID)という本でも、このことを裏づけています。この本は、人間(部下)の管理と業績の管理について書かれています。これがマネージャーの役割です。

どうやら、マネージャーの役割の中には、業務の仕組み(ビジネスモデル)の妥当性を判断することは含まれていないようです。一方、リーダーやエグゼクティブと言われる概念の場合、業務の妥当性・合理性の管理が必須だろうと思います。

現在、業務を把握しなくてはリスクがある、という発想が普通になっています。業務の管理をせずに、人と業績の管理をするだけでは、不十分だと言えそうです。ビジネス・リーダーの場合、業務の仕組みを管理することが、第一義的になったというべきでしょう。

 

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