業務マニュアル

業務マニュアル原論

この原論はやや専門的で、わかりにくいかもしれません。現在、業務マニュアルについての文献がほとんどない状態です。参考になる点があれば幸いです。

 

1. 業務マニュアルを最強の経営ツールにするために

1-1 組織の目的と組織のかたち
業務マニュアルは最強の経営ツールです。業務マニュアルは、業務全体の把握ができる構造になっていることが大切です。

業務全体の状態が把握できるなら、組織の目的と合致しているのかが確認できます。
組織は、目的を持つ存在です。目的がなくなったら存在価値がなくなります。目的がなくても存在しつづける家族や地域の共同体とは、その点で違います。

組織の目的にかなった業務の体制になっているのか、それを把握するためには全体の業務が見えなくてはなりません。業務の全体がその組織のかたちになります。

業務マニュアルとは、その組織のかたちを明らかにするものです。
成果をあげるために、全体の業務がどういう仕組みで動いていたらよいのか、そのありようを表すのが業務マニュアルです。

1-2 「標準化」の注意点
業務マニュアルとは、標準を書くものだという言い方があります。業務のあり方として一番よい方法を標準に定めて、それを記述するのが業務マニュアルであると言う考え方です。

よい方法に従って業務を行うことは、大切なことです。しかし、標準化だけではうまく行かないはずです。業務が高度化して複雑になってくると、組織には多様な能力を持った人達が集まってきます。多様な人たちは、それぞれが得意とするものを持っています。その人それぞれが持つ強みがあります。組織では、その人の強みを生かすことがとても大切です。

すべての業務が標準化されてしまったら、均一化された平均的な力しか発揮されません。
一方、多様な強みを生かす組織ならば、各々の得意なところ、強いところを足してゆきますから、標準化された平均の総和を超える力を発揮することになります。

人間の能力は様々な得意分野を持っていて、能力はデコボコですから、人それぞれの強みを生かす必要があります。標準化だけでは対処できない時代になってきているのです。
各人の強いところを足していくという発想が必要です。

標準化に従った業務ばかりをしていると、人はだんだん考えなくなります。それは組織の危機です。出る杭は伸ばしたほうが、組織にとってよいのです。

カール・ヒルティは『幸福論』の中で、「働きの喜びは、自分でよく考え、実際に経験することからしか生まれない」と書いています。

業務マニュアルを作成するときに、業務をなす人が、しっかり考えて業務をなす仕組みになっているのか検討する必要があります。