マーケティングの基本

公開日 2021/7/3

このスライドは、まだ入社間もない人向けに、一番簡単にマーケティングを説明しようとして作ったものです。

マーケティングの勉強をした人は、コトラーの本など、厚いのに驚いたはずです。ああいう本を苦労して読むうちに、何だかわからなくなることがあります。

一番簡潔にと言われたら、こんな感じでしょう…と、そんなつもりで作った資料です。

【1】 マーケティングというのは、「誰に・何を・どう提供するか」…を決めることです。これが一番の基本になります。

第1に「誰に」を決め、2番目に「何を」を決め、最後に、「どう提供するか」を決めていきます。

この順番に従って、それそれを決めていくことがポイントです。「誰・何・どう」を明確にしていくのです。

私たちは、誰にモノ・サービスを提供するのか。どんな内容のモノ・サービスを作るのか。それをどう提供するのかを決めていきます。

【2】 私たちがモノやサービスの提供をするとき、「どういう人たちに向けてなのか」のイメージがなくては困ります。ご存知の通り、「顧客」というのは「お客さん」のことです。

ただ、ここでいう「顧客」というのは、ビジネスに限らない概念です。自分たちがモノ・サービスを提供する人たちのことです。非営利組織でも、必要な概念です。

ビジネスの目的は「顧客の創造」だと言ったドラッカーも晩年には、営利組織のみならず非営利組織においても「顧客」を考えなくてはいけないと、主張しました。

【3】 顧客というと、何となくわかりにくいようですね。ここではお客さんと呼んでおきましょう。以下、先ほど言ったように営利組織に限らない話です。

何といっても、お客さんを観察することが大切です。さらにまた、まだ見ぬお客さんをイメージすることも重要です。

現在のお客さんのイメージが明確になると、まだ見ぬお客さんのイメージが見えてくることもあります。そうすると、どんなお客さんに来てほしいか、だんだん見えてきます。

【4】 自分たちが誰にモノやサービスを提供するのか。この決定がすごく大切です。

自分たちが仕事をするとき、何らかの目的があるはずです。その目的を達成するためには、「どんな人たちに向けて、どんな成果をあげたいのか」を明確にすることが必要です。

具体的なお客さんのイメージを作ったら、今度は「この人たちに向けて、何をどう働きかけようか」という段階に進むことになります。

【5】 お客さんのイメージが出来てくると、この人たちが喜ぶものがどんなものか、何となく見えてくるはずです。それを明確にするのが、「何を(WHAT)」の段階です。

お客様が喜んでくださるなら、きっとうまくいきます。まずは思いつくものを出していきましょう。それを少しずつ整理して、明確にしていくことになります。

「どんな風に喜んでもらおうか」ということを詰めていくときに、何らかの基準があったほうが、安定性があるでしょう。

【6】 何を提供するかを考えるとき、明確性が求められます。そんな時、知っておくと役に立つ、目標を明確にするための方法をご紹介しておきたいと思います。

QCDという3つの基準から考える方法です。Qは品質、Cはコスト(費用・手間)、Dは納期…これら3つの要素から考えていきます。

質は高い方がいいですし、手間がかからなくて、安くできたらいいでしょう。それも早く提供できるようにしたいものです。

全部を満足させることは出来ません。これらのバランスが大切です。

【7】 基準が3つ示されました。それらの程度をどのくらいにするかが問題です。

どのくらいレベルが高いのでしょうか、どんな風に高いのでしょうか。

「どのくらいの品質か?」を、どう示しましょうか。そのときの費用や手間のかかり方はどうなるでしょうか。あるいはスピード重視する場合、何かが犠牲になるのでしょうか。

こうした点を明確にする必要があります。

【8】 品質・コスト・納期を、どのようにバランスさせるか。すべて理想的な状態にするわけにはいきませんから、実現可能になるように、バランスをとることになります。

Q: むやみに質を下げる訳にはいきません。期待に応えるだけの十分な品質が必要です。

C: お客様に提供する価格も、モノの価値に対して、相対的に安くないといけません。価値に対するコストが妥当であるということです。

D: 不満が出ない合理的な期間に提供できなくてはいくら品質が良く、コストが安くても困ります。

【9】 勝利の方程式というほど確たるものではありませんが、やはり勝てるモノ・サービスの場合、ある程度のモデル化が可能です。

圧倒的なものならば、最高のものを欲しがる人達が注目するはずです。多数の人に提供するものなら、この値段で、よくぞここまでというものが強いでしょう。あるいは自分たちしか提供できない限定のものなら、競争力があります。入手困難なものが入手できるなら、強いはずです。

こうやって、値段で驚かせたり、希少性や、新しさなど、ポイントを決めて、工夫していくことです。目標が見えると、何とかなることがありますね。

【10】 私たちが生産性を上げようとするときに、努力ばかりではダメです。手間のかかり過ぎには、一番気をつけなくてはなりません。

なるべく手間をかけずに、質の高いものが作れたらどうでしょうか。手間がかからないなら、早く提供できるかもしれません。

手間をかけて質を上げるだけでは、生産性は上がりません。質を落とさない方法、そして同じ手間で、質を上げる方法が求められます。

【11】 私たちが仕事をするときに、反復継続が前提となります。同じモノやサービスが繰り返し提供できるということが、仕事の前提になっています。

そのため、反復継続して提供できる体制を構築することが不可欠です。その方法が確立されていることが条件になります。

さらに仕事の継続に必要な資金、つまりは利益が必要です。継続費用と言うよりも、もっと積極的に、利益を拡大させる仕組みを作っていくことによって、やりたい仕事をするチャンスが拡大します。

【12】 「ここまでの話は分かった。では、どうするのか?」 そう思った人達に対して言うべきことは、「アイデアを出してください!」ということになります。

大切なことは、アイデアを書いておくということです。書くことで、検証可能な形式になります。あとで反復継続的に確認が出来ますから。

自分の書いたものを確認して、それを見て連想を働かせる、それらのうち、これとこれを組み合わせると…と考えていくと、具体的なアイデアも生まれてくることがあるはずです。

【13】 アイデアを出すときに、使える方法として「宿題方式」をご紹介したいと思います。すでに同様のことを、おやりになっている人もいるはずです。

自分なりの期限を設けて、アイデアをまとめます。そこで一区切りして、その日時までにまとまったアイデアを読みながら、思いついたことを、そこに追記していくのです。

追記したものをさらに整理して、まとめます。そのまとめを見て、同じように連想を働かせて思いつきを書き込んでいく。これを何度か行うとアイデアが展開していきます。

【14】 自分の作ったアイデアに愛着がなくてはなりませんが、同時に、それを厳しく追及していかなくてはなりません。その過程で、新しいものが生まれてくるはずです。

自分のアイデアが、他の人にすぐに伝わるでしょうか。自分でもよくわかる明確なイメージが出来たのでしょうか。もしそうなら、試作品=プロトタイプが出来るはずです。

具体的な試作品と言うべきサンプルがあれば、そこに問題点がないかを、自分で評価できるようになります。また、「この人は…」と言う人がいたら、意見を聞くのもよいでしょう。

【15】 モノ・サービスがつくれたら、それらの評価が必要です。お客さんが、自分たちのモノ・サービスを、どう評価しているか、反応を見ます。

上手くいかないとき、しばしば全面見直しをしたくなりますが、わずかな手直しで評価がガラッと変わることも、よくありますので気をつけないといけません。

自分たちの意図が、ピタッと当たることなど例外でしょう。冷静にお客さんの反応を見て、判断しなくてはなりません。これは簡単なことではありませんが、実行可能なはずです。

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