■教えることの意味、その効果について

       

1 リーダーの仕事

今月の研修のためにテキストを作っていました。昨日が締切でしたので、いささかくたびれています。何となくピタッといかなくて、何度も作り直して、元に戻ったり、まあいつもながらのドタバタです。それでも、前より少しはよくなったかもしれません。

リーダーの人たちが、部下の文章をチェックするために、どうな風にしたらよいのかという話です。当然のことながら、絶対の方法があるとは思いません。複数の指標でチェックしたほうが良いですし、検証しながらチェック方法の改善を図る必要があります。

この講座を以前実施したときに、ご質問がありました。部下のための指導を本気で進めていくと、自分の仕事に支障が出てきそうなので、どうしたものでしょうという質問です。自分の仕事に支障が出るほどの負担なら、それは調整が必要でしょう。

まじめそうな方でした。部下の成長のために、何かしたいと思っているのは立派なことです。しかしリーダーにしかできない仕事を、最優先してもらえなかったら、会社も困ります。自分の仕事とのバランスを取りながら、部下を育てていくしかないでしょう。

      

2 後生畏るべし

普通の人を一流にすることは相当難しいことです。ドラッカーが一流の人を超一流にする方が、普通の人を一流にするよりも容易だと語っていました。たしかに実際の経験からしても、出来る人ほど、どんどん進歩すると言いたくなることがあります。

「後生畏るべし」ということは間違いなくあるのでしょう。あるところまで教えたら、あとは勝手に伸びていくということは、あるいは自然なことなのかもしれません。最近、そうなるかもしれないと思う事例が出てきています。楽しみにしながらの様子見です。

しかし一流になるというのは、すごく大変なことであると改めて思います。どこまで行けば一流なのかはわかりません。ビジネスの分野では、ある種の選抜テストを繰り返すようなところがあります。次々そこで成功していても、簡単に一流にはなれないのでしょう。

       

3 教えることの意味

プロという概念でもそうですが、実態がどんなものなのか、よくわからないまま使っています。たしかにそういう人たちがいるのです。一流の人、プロの人はいます。しかし簡単にどういう人か、どうすればそうなれるのか、簡単には言えません。

小松英雄の『日本語を動的にとらえる』を見ていたら、面白い文章が見つかりました。[専門家の話を理解するにはそれなりの準備が必要であるが、素人論は素人によくわかる]というのです。例によって、ベストセラーになった本を一刀両断にしています。

小松はそこにヒントを記していました。[筆者が大切にしているのは洞察力、すなわち、見えない奥を見通す力である](p.13)とのことです。一流の人、プロの人が優れているのは、この点かもしれません。もう一度、よく考えないといけないと思います。

若い人たちがどんどん伸びていく姿を見ると、いつもとは違うことを、あれこれ考え出します。おそらくささやかでも教える立場に立つことの効果は、こういうところにあるのかもしれません。彼らからの刺激を受けて、もう一度、努力していきたいと思っています。

     

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