■専制国家の軍隊が弱い理由:そして新しい世界秩序

    

1 敗北したロシア

プーチンのロシアによるウクライナ侵略がまだ続いています。もはやロシアに勝利はありません。ソビエト帝国の崩壊を予測した小室直樹は、ロシア=ソビエト軍は弱いということを前提としていました。ロシアが勝つのは10倍くらいの圧倒的な戦力の場合のみです。

小室は『ソビエト帝国の崩壊』で[アフガニスタンにソ連が出てきて、ソ連が悪いと言うが、これはアメリカが悪いのだ。ソ連が出てきたら、アメリカは「殴り返すぞ」とはっきりさせないから出てくるのである](pp..168-169)と記しています。

専制主義の国の場合、空白地帯ができたら攻めるのです。これがわからないのは、愚かだということになります。しかし攻め込むほうが悪いのです。長い目で見ると専制主義は弱体化します。カーター大統領は愚かでも、レーガン大統領がソビエトを解体しました。

ただクリミア併合の場合、アメリカはあまりにひどかったでしょう。オバマ大統領は史上最低の大統領と言われるのも仕方ありません。批判するだけで、有効な対策なしに放置しました。これでプーチンのロシアは誤解したはずです。現状認識の誤りが生じました。

     

2 専制国家の軍隊が弱い理由

ドラッカーは『マネジメント』のはしがきに「専制に代わるもの」と副題をつけました。自由主義、民主主義のないところではマネジメントが有効に働かないのです。成果が上がらないということになります。当然、組織である軍隊も弱いということです。

弱い組織が攻め込んで、負けました。立て直しなどできません。オバマ政権の副大統領だったバイテン大統領はオバマとは別タイプの大統領のようです。侵略前から現在まで、イギリスと連携しています。イギリスが主導権を握って戦略を立てているようです。

世界のルールを作ろうとするとき、レーガンのときもイギリスに頼りました。今回も、同様です。今回はロシアだけでなくて、その先に本物のターゲットがあるということでしょう。オバマの失敗は、クリミア半島だけではありません。南シナ海でも大失敗でした。

イギリスは香港での約束を反故にされています。完全になめられたのです。誇り高きイギリスが何もしないままということは考えられません。綿密な戦略を立てていたでしょう。ブレグジットの混乱も収まって、今回は本格的な世界の枠組みの再構築となります。

      

3 イギリスが主導する新しい世界秩序

20世紀初め、ヨーロッパにはワイマール帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、オスマントルコ帝国、ロシア帝国がありました。ロシア帝国はソビエト帝国として生き残り、いまもまだ残っています。これが弱体化して、消滅が近づいているということでしょう。

ユーラシア大陸にはロシア、チャイナ、インド、イスラム諸国の4つの勢力がありました。このうち、人口だけ見ても分かる通り、脱落し始めたのがロシアです。脱落しそうだった国が、今回そのスピードを自ら早めました。もはやロシアは詰んだのです。

どうやらこれで終わりではなく、新しい世界体制の構築が始まったようです。イギリスの動向に注意していくべきでしょう。日本の現首相がブレーキですが、日英同盟の方向に動き始めたと見られます。劇的な変化の起こる可能性が高まっているというべきでしょう。

    

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