■図表から見たグローバル化:図解講座を終えて

     

1 パワーポイントの弊害

図解講座を行いました。こういう時期に、おおぜいの方にご参加いただき感謝しています。今回の講座のテキストを作る過程で、あらためて思ったのは、2012年頃から始まったと思われるビジネス文書のスタイルの変化でした。図表も変わってきています。

文書で使う図を作るときに使用するアプリケーションはパワーポイントが中心でしょう。パワーポイントは便利なアプリケーションです。なくては困る存在になりました。しかしパワーポイントによるプレゼンテーションの弊害について、指摘がなされています。

日本でパワーポイントの弊害をはっきり指摘して、やっと出てきたと感じさせられたのは2012年のAERA(2月27日号)でした。物事を単純化してわかりやすくというのは大切なことです。しかしそれを上手にやった結果、プロジェクトが失敗するケースもありました。

こうした話は関係者の間ではわりあい知られていたのです。おそらく2007年頃には特別な話ではなくなっていました。やっとマスコミで報じられましたねといったところでしょう。すでに多くの企業がパワーポイントの使用によるリスクを感じていました。

     

2 図表の「グローバル化」

今回、図表をチェックしながら、あらためて思ったことはプレゼンテーションだけでなくて、一つ一つの図表もかなり変わってきたということです。グローバル企業でも2010年以前に作られた図の中には、現在では失敗と言われても仕方ないものがかなりあります。

そのまま世界に出しても全く問題ない、あるいはよくできた図だと言われるものが、普通に見られるようになったのは、2012年よりもかなり後になってのことです。図表の「グローバル化」は企業だけではなくて、官庁で出される図表を見ても感じられます。

知らないうちに、思わぬ変化が起こっていたようです。日本語を別の言語にしてもそのままよくできた図表にしなくてはなりません。基本的な形を使って、標準的な色使いで、配置も自然な形でということになります。そこに充実した内容を盛りこめばよいのです。

     

3 少数の充実した図で勝負

一般向けの雑誌を編集する人の話では、専門家が時々使用する特殊なグラフは使用禁止にしているとのことでした。伝わりにくいからダメだと言うのです。主要な3つのグラフである棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフだけにしてもらっているとのことでした。

その結果、使われる図は必要なもののみになります。ビジネス文書でも同じでしょう。図表の数が多すぎる文書は、ピントがずれているとみなされます。ピタッと決まった少数の図で説明すべきです。使われている図は、すべて重要だという前提になります。

図が少数になれば、一つ一つの図の評価が厳しくなるのは当然です。プレゼンテーションでも、ひとつのスライドをずっと映したまま話すケースも出てきています。使用する図を少数に、一つ一つがシンプルで充実したものにという流れは、今後も続くでしょう。

     

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