■業務マニュアルをつくるステップ:どこから手をつけるべきか

     

1 業務の仕方と業務の実践モデル

良いマニュアルがあると言われても、どう作ったらよいのかわからないということは、けしてめずらしいことではありません。逆に、それが普通だろうと思います。まず、どこから手をつけたらよいのでしょうか。そこからわからないということになりがちです。

たとえば、自分の業務を仕方をまとめてみます。これをAとしましょう。もう一つは、一日の業務の状況をモデル化してまとめてみます。これをBとしましょう。マニュアルを作ろうとしたら、このAとBをまとめてみることが必要です。ここからスタートします。

各人が、A=「自分の現在の業務の仕方をまとめること」、B=「一日の業務の実践についてモデル化した形式でまとめること」が出来るかどうか問題です。実際、これがまとめられないというケースもあります。毎日の仕事が安定していない場合などです。

しかし多くの場合、ここまではクリアできます。ひとまず一般的なケースとして、ここまでまとめられるとしましょう。そうしたら、AとBのどちらから手をつけたらよいでしょうか。聞いてみると、なかなか面白い話になります。ここで少し考えてみてください。

     

2 プロセスがビジネスの原則

自分の業務をマニュアル化するときに先に手をつけるのは、Aの「業務の仕方」なのか、Bの「一日の業務実践モデル」なのか、どう判断したらよいでしょうか。簡単なことです。どっちが成果に結びつくかで決めます。ここまで言えば、お分かりでしょう。

Aの「業務の仕方」から始めるのが原則です。業務の見直しをするという場合、Aの「業務の仕方」の見直しだということになります。どのように業務を行うかによって、一日の業務の進め方が変わります。Aを手直しすれば、Bも自ずから変わるでしょう。

では、業務の仕方を簡潔な形式で記す場合、一般にどんな形式になるでしょうか。ほとんどの人たちが、手順を書くことになります。まずこうやって、その次にこうやって…というステップを記すのです。ビジネスの原則はプロセスにあるとも言ってよいでしょう。

     

3 担当者以外の人が実践できる記述形式

プロセスのなかには、複数項目を並列的に確認するステップもあるはずですが、いずれにしろ、これらプロセスと確認項目を記す形式で、たいていの業務の概略が記述可能になります。業務を実践する当事者であれば、これだけの記述で詳細まで再現が可能でしょう。

そして、ここからが勝負です。当事者以外の人が実践できるようにするためには、標準化が必要です。前回紹介したPRESIDENT(2021/11/29)の記事でも、松井忠三は[MUJIGRAMも業務基準書も、目的は「業務を標準化する」こと]であると語っていました。

他人が実践するために、プロセスに加えて、何が記述されれば業務の実践が可能になるのかが問題になります。実践者としてどんな人を想定するかにもよりますが、業務が実践可能にならなくては、その先に行けません。これが最初の関門ということになります。

    

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