■重要事項の記述について:4つの原則

     

1 重要情報を先頭に置く

ビジネス文書をつくるときの原則として、重要情報を先に持ってくるということが言われます。先に持ってくると、その情報が目立つためです。大切な情報が目立つように置かれていたら、読む側もそれに反応することになります。効果的で、合理的でしょう。

ビジネスにとって重要な情報とは、どういう内容のことなのでしょうか。組織の目的に関わること、組織の存亡に関係あること、あるいは仕事の成果に結びつくことが重要性の基準になるはずです。これらの観点から、ある程度、客観的に重要性は決まります。

こうして重要性が判断された場合、どう記述するかということになります。置かれる位置は、最初という原則ですからわかりますが、その記述の条件が気になるところです。ビジネス文書で、重要事項の記述について、特別な原則というものはあるのでしょうか。

      

2 5W1Hをふまえる

ビジネス文書では、TPOが問われます。いつ・どこで・どんな場合のことなのか、これを明示しなくてはなりません。重要事項の記述をする場合にも、これが当てはまるのは間違いないでしょう。したがってTPOを記述することが、条件に加わることになります。

ビジネスに限らず、出来事や経験は一回性のものです。あるとき、ある場所でしか起こりませんし、経験できません。出来事・経験の記述には、「いつ・どこで」が客観的な前提になります。経験に先立つ概念として、時間と空間という客観的な概念があるのです。

前提条件としてのTPOが示され、そのあと出来事や経験の内容を記述することになります。そのとき必要なのは「誰が・何を・どうした」です。あるいは「誰・何・どこ・いつ・なぜ・どのように」という5W1Hが必要だということになります。

どうやらビジネス文書での重要性はその内容であって、記述の形式についてはビジネスの枠もりも、もっと広い共通性があると言えそうです。重要事項は、5W1Hをふまえて、文書の冒頭に置くというところまではわかりました。さらに、何が必要でしょうか。

      

3 具体的な事柄を簡潔にまとめる

『アイデアのちから』でチップ兄弟は、[新聞記者は、記事の冒頭に最重要情報を持ってくるよう教え込まれる]と記しています。冒頭の部分は「リード」と名づけられており、[すぐれたリードは豊富な情報を伝えることができる]ということです。

[その好例として]あげられたリードを見てみましょう。[金曜日、四時間に及ぶ心臓移植手術により、17歳の健康な心臓が34歳のブルース・マレーの体内で鼓動し始めた。執刀医らによると、手術は順調だった]。ここで何が記述されているでしょうか。

100文字足らずで、「いつ・どんな手段で・何が・どうした、結果はどうだった」かについて、具体的な事柄が記述されています。重要事項には具体性が必要であるということ、結果がどうかが重要性の条件になること、これらが必要条件になりそうです。

ここまで見てきた重要事項の記述原則をまとめておきましょう。①具体的な事柄や結果を、②5W1Hをふまえて、③簡潔にまとめあげ、④それを冒頭に置く…ということになります。これらは、ビジネス文書に限らない一般的な原則と言うべきものでしょう。

     

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