■目標の設定 :リーダーになってしまった人へ その13

1 自分の使命を感じる

エディー・ジョーンズは日本に来て、失望を感じた。いまの日本は、驚異的な経済発展を達成したあと、[自らの力を眠らせてしまったのでは]と感じさせる。何とかしなくてはならないことは間違いない。『ハードワーク』に自分の使命を書いている。

▼私は日本のラグビーを見て、これと同じようなことを感じました。本当は力があるのに、それを出せないまま、弱い状態に甘んじている。その期間が長いため、マイナス思考が染みつき、活路を見いだせない……。
私は、日本のラグビーに、根本的な改革が必要だと思いました。 p.32

おそらくジョーンズの能力なら、日本のラグビーを根本的に変革できるだろう。[最初は、日本のラグビー界全体を変えなければならないと思った](p.175)。自分の使命が何かと問えば、日本のラグビー界は変わるべきであり、変えられるということだから。

 

2 顧客の価値を考える

ドラッカーの『経営者に贈る5つの質問』の最初の質問は、「われわれのミッションは何か?」だった。ジョーンズにとって、「ミッション=使命」は明確になっていた。しかし、質問2「われわれの顧客は誰か?」と問うてみると、簡単にはいかなくなる。

最初、[日本のラグビー界全体を変えなければならないと思った]。それで[ラグビー協会と意見を戦わせた]が、[でも、何も変わりませんでした。協会から見て、私は外国人の雇われコーチにすぎません]。その結果、[私自身も変わりました](p.175)。

ジョーンズにとっての顧客は、日本のラグビー協会だった。ドラッカーの質問3「顧客にとっての価値は何か?」を考えることになる。[私の結論は、いたって簡単でした。勝てばいいということです。勝てばファンはついてきてくれます](p.176)。

 

3 目標を設定する

顧客であるラグビー協会にとって、価値あることは勝つことだった。そして本来の顧客であるべきファンも喜んでくれる。指導者であるジョーンズにとっても、指揮するチームが勝たなくては意味がない。質問4「われわれにとっての成果は何か?」は明らかだった。

日本選抜のラグビーチームを勝利に導くこと、それ以外の[コントロールできないことを考えるのをやめた](p.176)。集中すべきことは明確である。では、どこまで行けるのか。それが世界のトップ10、3年後のワールドカップでの勝利であった。

『ハードワーク』の書き出しは、目標についてであった。[人生において、大きな成功を望む時][絶対にしなければならないこと]がある。[それは明確な目標を設定すること](p.16)である。では目標というものは、どういうものであるべきか。

▼目標は漠然としたものや、抽象的なものではいけません。数字などで具体的に表現され、結果が出たとき達成できたかどうか、はっきりわかるものでなければなりません。
明確な目標は、必ず強いイメージを伴います。そのイメージが、成功へと導くのです。 p.16

 

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