■ミッション、ビジョン、アクションプラン、スケジュール

1 「アクションプラン」とは

アクションプランという言葉をどこかでお聞きになったことがあるでしょう。プランとか計画といわれる概念の一種に違いありません。定着している言葉であるかどうか、微妙なところです。普段から使っている組織もあれば、何ですか…という反応もあります。

アクションプランがどういうものか、エターナル版『経営者の条件』の序章「What Makes anEffective Executive(2004年)」でドラッカーは説明しています。アクションプランとは、行動すること物事をなすことの前に作られる計画のことです。

5つの項目に注意せよと列記しています。(1)望むべき結果、(2)予想される障害、(3)必要となる修正、(4)チェックポイント、(5)時間管理上の意味合い。(1)と(2)をはじめに並べて、ミッションや目標との照合を求めています。

(1)と(2)で言われていることは、「何によって貢献すべきか、いかなる成果をもたらすべきか」「組織としてのミッション、価値観、方針に合っているか」といった項目です。こうした説明の仕方は、いささか苦しいところがあります。

本来ならば、ミッションを決め、目標を決め、そこからアクションプランが決められるものです。短い論文であるためか、上位概念の説明が省略されています。そのために概念の逆転した説明になってしまったのかもしれません。ひとまず(1)(2)を後に回します。

 

2 「アクションプラン」と「スケジュール」

アクションプランの性格について、[頻繁に修正していくべきもの]とされる点に注意が必要です。ミッションなら、簡単に変更してはいけませんし、目標もころころ変わっては困ります。しかしアクションプランの場合、状況に合わせて変えていくものです。

アクションプランの役割・機能として重要なのが[時間管理の基準]という点も、注目すべきでしょう。計画に日付や時間をつけて、目標達成への道のりを、時間という尺度で管理していこうということです。管理するときの[時間の使い方の目途]となります。

何かことをなす場合、あるいは経験でも同じことですが、私たちが基準とすべき前提は、「いつ・どこで」ということです。場所・空間の制約がつく場合ならば、それが前提条件になります。あるいは時間の制約があるときには、それが前提条件になります。

時間の使い方に重点を置いた場合、アクションプランはスケジュールと呼ばれるものと概念が類似したものになるはずです。スケジュールは、目標に基づいて作られます。スケジュール調整は当然のことですから、頻繁に修正されるのは当然というべきでしょう。

 

3 「スケジュール」とは

エディー・ジョーンズは『ハードワーク』でスケジュールという言葉を使って、スケジュールの重要性を語っています。ここでいうスケジュールとは、ドラッカーのいうアクションプランの概念とほとんど同じです。ジョーンズの説明の方が明確でしょう。

▼目標を掲げたら、次に決めなければならないのは、スケジュールです。目標が全体像だとしたら、スケジュールは細部です。 p.19  2016年

この説明を見ると、ミッション→目標→スケジュールという流れが見えてきます。[大切なのは、目標です][自分がどこへ行きたいか。みんなをどこへ連れて行きたいか。これを強く意識し、決してぶれさせてはいけません]。そしてジョーンズは言います。

▼目標さえしっかりしていれば、スケジュールはおのずと決まってきます。またスケジュールは、当初考えていたものとは大きく変わることもあります。 p.20 2016年

スケジュールを変更するのは当然だとする立場です。[状況は、日々変化します。それに応じて、スケジュールも変えなければなりません]。変更は必要的だという考えです。変更を[嫌がるべきではありません]という主張につながります。

やるべき内容・メニューを決めることは大切ですが、それだけではどうにもならないのです。時間軸が全体を貫く基準になっています。目標達成のためのステップ、あるいはプロセスを進めていくときに、日付・時間を目印にしていくということです。

 

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