■文章チェック講座を終えて:新しく始まった講義

 

1 「他人の文章チェック講座」の新設

他人の文章をチェックする講座が新しく始まりました。教室の空いていたのが連休明けの火曜日とのこと。受講される方がいらっしゃるのか心配しながら出かけていきました。こちらが驚くほど多数の方にご参加いただきまして、心から感謝しております。

参加されたのは文章をチェックする立場にある方々ですので、ほぼ全員が管理職、リーダー格の人たちです。ビジネスにおいて文書の質がますます問われるようになっている一方、文章のチェック方法について、指導がなされていないというのが現状でしょう。

ぱっと見れば、だいたいの評価はできてしまうのかもしれませんが、それではチェックしたことになりません。他人の書いた文章をチェックするということは、チェックする側が理屈をつけて説明できなくてはいけませんから、案外めんどうな作業になります。

 

2 正確な読解が基礎

今回講座を行ってみて、やはりというべきことですが、個人差がかなりあるのを感じました。得意不得意とも関係することでしょうが、必要と感じるものに違いがあるようです。確認のために「アミラーゼ問題」もやっていただいたところ、正解率は約5割でした。

文章チェックをする側に立たされた人たちも、自分の読解レベルが盤石だと思っているわけではありません。不安を持つ方が多数いらっしゃいます。アンケートの記載や話をお聞きすると、文章ルールをきちんと押さえたいという方が6割以上をいるようでした。

文章表現を重視するのは当然のことです。文章の構成をシンプルにして、内容重視で行こうという場合でも、文章表現の問題は避けて通れません。意味内容を正確に伝えるためには簡潔で的確な文章で記述することが必要です。それが評価の前提になります。

文章をチェックするためには、(1)正確に文章を読解して、(2)その内容を評価して、(3)適切な方向に誘導していくことが必要になります。内容が正確に伝わらない表現に関して、どう書いたらよいかという最小限の説明とコメントを付加したほうがよいでしょう。

 

3 神は細部に宿る

ビジネス文書の場合、文章はルールにそったもの、文章構成はシンプルというのが原則です。チェックする側が形式を指定できる場合、標準的でシンプルな形式を提示したほうがチェックするのにも楽でしょう。客観的な評価にもつながるはずです。

そのとき全体と部分の両面から見ていくことが大切になります。一読すれば、全体の印象はつかめるのが普通です。それは大切なヒントになりますが、その印象の根拠を絞っていかなくてはなりません。神は細部に宿るということを感じることになるはずです。

たとえばビジネスで、たった一つの数字が大きな意味を持つことがあります。客観的なデータがきちんと扱えない人の場合、こうした基礎から訓練していかないと、その先はありません。そのままでは、その人の文章を評価の対象外にするしかなくなります。

文中に「原油輸入の8割」とあったら、この人の文章はよほど注意が必要になります。きちんと文章がチェックできる人なら、即座に違和感をもつはずです。原油の輸入額なのか、輸入量なのかが明確になっていなくては、数字に意味がないということです。

今回、こうした話をはじめの方に置きながら、講義を進めて行きました。ニーズがばらけるテーマの講座でしたので、満足な出来とはとても言えませんが、次回に向けて、またいくつかの点を修正していきたいと思っています。私自身、いい勉強になりました。

 

 

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