1 意思決定の回数を減らす目的
先週、業務マニュアル作成講座を行いました。大勢の方の参加に感謝いたします。今後ますます業務マニュアルが重要になるはずです。参加された方もお分かりの様子でした。講座開始からそろそろ10年になります。この間、確実に意識が変わってきました。
毎回、午前中に業務マニュアル概念が変化した話をします。以前なら古いマニュアル概念にとらわれている人が少数ながらもいましたが、もはやそうした反応はありません。マニュアルがあると不自由になるとか、考えなくてもよくなるなどと考える人は皆無です。
大切な意思決定をするためには、ルールを作って定型的に判断できる領域を増やす必要があります。意思決定の回数を減らしていくことが必要なのです。そうそう…という反応が見られたのは幸いでした。こういうことは、当然であってほしいものです。
2 時間配分のモデル
業務プロセス重視の考えにも問題があります。プロセスになりにくい領域がマニュアル化されずに取り残されがちです。たとえば営業に関して何が大切なのでしょうか。プロセスが主要な問題であるとは考えにくいことです。それよりも時間配分が大切でしょう。
業務時間の中で、実際に営業をする時間がどのくらいあるのか、移動時間がどのくらいで、社内業務がどのくらいあるのか、そのバランスを考えることが優先されます。大枠を決めてから、営業手順や手法などをルール化していくべきでしょう。
営業がうまくいったときの自分の時間配分はどうであったのか、あるいは成績のいい人の時間配分はどうであるのか…を参考にしてモデルを考えます。営業のプロセスをどうするかよりも、時間配分のモデルを作ることの方がしばしば実際の業績に影響します。
3 マネジメント最強のツール
詳細な業務の工夫も大切ですし、その蓄積も必要ですが、もっと大切なことがあります。自分たちの仕事がどういう目的で、どういう仕組みで行うべきかを明確にすることです。何のために業務を行っているかを考えることが、ヒントを与えてくれます。
もっと俗な言い方をするなら、自分たちの仕事の仕組みが「勝利の方程式」になっているかを確認していくことが必要だということになるでしょう。どんなに優れた人が集まっても、全体の仕事の仕組みが勝てるモデルになっていなくては、成果が上がりません。
業務マニュアルというのは手順書でしょう…という発想は消えました。かつては、業務マニュアルを作っても成果と関係ないからと言った人もいましたが、さすがにもういません。もはや具体的な成果をあげなくては、よいマニュアルとはいえないでしょう。
業務=ビジネスですから「ビジネスマニュアル」と言うべきかもしれません。領域の広さがわかるはずです。業務=ビジネスには正解がありません。検証が必須です。検証しながら勝利の方程式を作っていくならば、マネジメントの最強のツールになるでしょう。