■読み書きのために 2:文の骨組みとなる言葉

 

1 感覚で行う言葉の分類

前回、品詞分類を修正して「ガ系・ノ系・ナ系・イ系・ウ系」という分類を示しました。これらに該当する言葉は文末に置くことのできる言葉です。イ系は形容詞、ウ系は動詞ですから、そう問題になりません。分類で気をつけるべきは「ガ系・ノ系・ナ系」です。

いままで何度か講義で言葉の分類をしてもらいました。「多く」という言葉は「ノ系」なのですが、「ガ系」でないのかと聞かれます。「多くが賛成した」と言えるではないかと言うのです。たしかに言います。しかし「多くの人が」が正式な言い方です。

「きれいがいっぱい」という言い方もなされます。「きれいなものがいっぱい」が正式な言い方です。先日、「桜の満開が楽しみだ」と言えるとの指摘もありましたが、違和感があるはずです。ふつう「桜が満開になるのが」という感じの言い方になります。

 

2 許容される言い方とされにくい言い方

言葉の中にも許容される言い方と、許容されにくい言い方があります。イ系(形容詞)の言葉の場合、「が」をつけるのは許容されにくいはずです。「きれいがいっぱい」を許容する人も、「美しいがいっぱい」という言い方には無理があると感じるでしょう。

ウ系(動詞)の場合も同様です。「動くが大変です」を許容することはないでしょう。慣習化された「逃げるが勝ち」のような事例は例外です。ウ系の場合、終止形に「の」や「こと」をつけて「動くのが・動くことが」の形式で「が」接続が可能になります。

このように「イ系・ウ系」の場合、「が」接続が可能かどうかの判断に迷うことはほとんどありません。私たちが「が」接続が可能かどうかを判断するときに迷うのは「ガ系・ノ系・ナ系」の言葉ということになります。ではどうやって判断しているのでしょうか。

 

3 複数の基準で判断する「ガ系」

片仮名であらわす外来語の場合でも、私たちは知らないうちに言葉を分類しています。「レポート」「パソコン」「ドレス」「キッチン」などには「が」をつけ、一方で「キュート」「ソフト」「ハッピー」などの言葉には「な」をつけているはずです。

「が」のつく言葉の概念を私たちは何となく知っています。「誰・何・どこ・いつ」を表す言葉ならば「が」接続が可能です。もっと具体的に言えば、「生き物・集団」「事・物」「場所」「時間」を表す言葉には「が」がつけられるということになります。

外来語の場合でも、人・物・場所・時間などには「が」をつけ、状態・様子を表す言葉には「な」をつけています。「満開・多く・きれい」ならば、原則として「が」はつきません。「満開・多く」は程度・状態を表し、「きれい」は様子・状態を表しています。

文の骨組みを作るのは「が」接続可能なガ系の言葉です。ガ系の言葉の場合、「は・が・を・に」の接続が可能になっています。「は・が・を・に」の接続が可能な言葉はキーワードになれる言葉であり、意味内容は「誰・何・どこ・いつ」を表す言葉です。

ガ系の言葉は文の骨組みを作る言葉です。文のカナメになる言葉ですから、複数の視点で判断できる方が安定性があって好ましいといえます。私たちは特に意識しないままに、「が」接続の自然さとともに、意味内容も確認しながら言葉を判定しているのです。

 

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