■読み書きのために 1:品詞分類の修正案

1 文末形式の3系統と品詞の齟齬

文法で言葉を種類分けしたものを品詞と呼んでいます。品詞分類をしたら、文章の読み書きが正確になるのならよいのですが、しかし日本語の場合、品詞と文章の読み書きとの関係があまりはっきりしません。何のための品詞なのか、疑問を感じます。

日本語の読み書きに役立つようにという発想から日本語の言葉を分類すると、通説の日本語文法の品詞分類とやや違ったものになります。ひとまず「ガ系・ノ系・ナ系・イ系・ウ系」と名付けました。この5種類の言葉は全て文末に置くことができます。

日本語の場合、文末に重心のある言語です。そのため会話のときに、状況が分かり合っている者同士なら、文末だけでかなりの用が足りてしまいます。英語なら、述語の品詞は動詞と決まっていますが、日本語の場合、文末に置ける言葉は動詞に限りません。

文末に置かれる言葉を3つの系統に分けて、それを「名詞文・形容詞文・動詞文」という言い方をすることがあります。しかし実際に文末の形式を3つに分けてみると、形式の3分類が3つの品詞に一致しないのです。これでは読み書きに役立ちそうにありません。

 

2 文の骨組みになる言葉

日本語の場合、述語が文末に置かれるため、語句の役割は位置が目印になります。文頭に置かれる言葉の役割は様々ですが、文末に置かれる言葉は述語になるのが原則です。文末に置くことのできる言葉は「ガ系・ノ系・ナ系・イ系・ウ系」の5種類になります。

5種類の言葉が文末の形式の系統から「ガ系・ノ系・ナ系」「イ系」「ウ系」の3系統に分かれます。「イ系」は形容詞のこと、「ウ系」は動詞のことです。「ガ系・ノ系・ナ系」の場合、「ガ系・ノ系」は名詞、「ナ系」は形容動詞になります。

名詞を2分するのは「が」接続ができる言葉と接続できない言葉の違いです。「私」ならば「私が」と言えます。「私は・私を・私に・私の」のように「が」以外の接続も可能ですが、「が」接続が可能かどうかをチェックすれば、この類型は判断可能です。

「ガ系」の言葉だけが主語などの文の骨組みに関係するキーワードになれます。名詞であっても「満開」のような「ノ系」の言葉の場合、「満開の桜」と言えても「満開が」とは言えません。そのため「ノ系」の場合、主語などのキーワードになれないのが原則です。

 

3 文末形式の相違と共通性

外国人に日本語を教えるときに、イ形容詞とナ形容詞という言い方がなされることがあります。「イ形容詞」とは通常の形容詞、「静か、幸せ、きれい」など「な」接続が可能な、品詞でいうと形容動詞と呼ばれる「ナ系」の言葉が「ナ形容詞」です。

【形容詞】=「イ形容詞」+「ナ形容詞」というのでしょう。しかし「イ系」と「ナ系」は文末の形式が違いますから、両者を一緒に扱っても無意味です。イ系の場合、終止形にして文末に置くのが原則で、ナ系の場合、「です・だ・である」をつけるのが普通です。

「バラが美しい」ならば普通の文章ですが、「バラがきれい」というと口語的に感じるでしょう。「バラがきれいです」とか「バラがきれいだった」が通常の文章です。逆に「バラが美しいです」と言う場合、まちがいでなくても「です」が余分な感じがします。

文末の形式が違うイ系とナ系を括るのが特別意味をもつのでしょうか。それよりも「きれいな桜」「満開の桜」の「きれい」と「満開」の対比の方に意味がありそうです。接続に「な」「の」の違いがありながら、文末が「です・だ・である」接続で共通します。

 

4 文末語句の5分類:ガ系・ノ系・ナ系・イ系・ウ系

文末に置くことのできる5つの種類の言葉を以下にまとめておきます。形容動詞に活用などないと考える点が通説と大きく違うところかもしれません。ガ系になる言葉は「誰・何・どこ・いつ」の答えになる言葉です。ノ系は程度を表す言葉になります。

[1] ガ系(Aが): 名詞(活用なし)[人・物・こと・場所・時間]
(1) 文のキーワードになる(「は・が・を・に」が接続する)言葉
(2) 文末は「です・だ・である」接続

[2] ノ系(Aの): 名詞(活用なし)[満開・多く・最高・究極…]
(1) キーワードを修飾
(2) 文末は「です・だ・である」接続

[3] ナ系(Aな): 形容動詞(活用なし)[きれい・静か・幸福・便利・安全…]
(1) キーワードを修飾
(2) 文末は「です・だ・である」接続

[4] イ系(終止形ーい): 形容詞(活用あり)[美しい・甘い・高い・黄色い…]
(1) キーワードを修飾
(2) 文末は終止形+「です・のです・のだ・のである」接続

[5] ウ系(終止形ウ段): 動詞(活用あり)[動く・走る・話す・証明する…]
(1) キーワードを修飾
(2) 文末は終止形+「ます・のです・のだ・のである」接続

 

⇒ cf. ■品詞分類の問題点 その2 「形容動詞」への疑問

⇒ 続き:■読み書きのために:文の骨組みとなる言葉

 

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