■組織の基礎的能力・個人の基礎的能力

 

1 業績の裏づけとなる基礎的能力

研究開発費が多く、社員の人材育成に熱心な会社なら業績がよくなるだろうと私たちは考えます。原因と結果というほどの証拠があるわけではないでしょうが、否定する人は少数でしょう。確率をいうほどの統計的裏づけが明確でなくても常識というべきことです。

企業業績を良くする基礎に人の能力と資金的な裏づけが必要だというのは、あえて言うまでもないことでしょう。国の発展のために教育を重視するのも、国の発展の基礎になるものがあるとしたら、それは人であるという基本的な考えがあるからだと思います。

21世紀初めの時点で、成人全体の識字率が中国では91%だったのに対してインドでは57%、成人女性でいえば、中国は87%でインドは45%の識字率との数字がありました。一番基礎になる識字率の指標から、どちらが順調に経済成長するか予測できたはずです。

 

2 指導者側の問題

一番の基礎になることは、しばしば常識になってしまって、もうわかっているという扱いになりがちです。実際に一番の基礎が崩れ出したら、ただことではありません。ところがそういうときにウソのような話ですが、まったく危機感がないことがあります。

もう一度基礎が何であるかを考えるべきでしょう。教育なら読み書きと基礎的な計算は基礎の基礎です。人材育成の基礎に、読み書きが必要なのはあえて言うまでもありません。しかし全体のレベルが下がってきたときに、仕方ないと思いがちなのでしょうか。

一定以上の分量のある文章が読めない大人が増えています。この人たちは「無能な人」ではありません。企業で部門のリーダーをしているような人も含まれています。この人たちは本気でもう一度再学習をしたほうがいいのではないかと思わずにいられません。

成人になったばかりの若者の読み書きの能力が問題になることがよくありますし、実際にまずいと思う水準であるのも確かです。しかしもっと根本的な問題があります。若者を指導するはずの、学校で「先生」と呼ばれている人たちの、ただならぬ文章能力です。

 

3 救いがたいレベルのエントリーシート

基礎になることを習得するには、かなりの時間がかかります。スピードを重視する社会では、わかるように書けという要求が強くなりがちです。視覚に訴えインパクトのあるものが優位に扱われる傾向が強くなってきました。その必要性があるのも確かでしょう。

明確な証拠はありませんが、おそらく確からしいことは、若者のセンスは全般的によくなっていること、それに対して文章を正確に素早く読み書きする能力が急速に落ちてきているということです。この傾向が何年続いてきたのか…、10年以下ではないでしょう。

若者が就職活動で文章をたくさん書くことはとても勉強になっているようです。何度も文章を書くうちに、かなりのレベルアップが見えてきます。若者にはまだ期待が持てるということです。指導側の個々のレベルは残念なままですが、それは置いておきましょう。

もはや冗談なしと思うようになったのは、今年あらためて企業のエントリーシートを何枚も見たためでした。企業側も工夫して、新たなエントリーシートの形式を作っています。その結果として、企業の基礎レベルが見えてしまった例がいくつかありました。

エントリーシートのダウンロードが何万件もあるといわれる会社のエントリーシートなど、それを見ただけで基礎教育が身につかなかった人が作成したと分かるものでした。エントリーシートをみただけでも、大丈夫なのかと思うほど格差が大きくなっています。

 

 

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