■文章の幹と枝の関係:後ろに重点が置かれる日本語の構造

 

1 文末の重要性

ほとんどの人が知っている日本語の基本文型があります。「いつ・どこで・誰が・何を・どうした」というものです。どこかで聞いたことがあるでしょう。「いつ・どこで」が条件の提示にあたります。条件がつかない文型なら、「誰が・何を、どうした」です。

「いつ・どこで・誰が・何を・どうした」という文型の、文末とその前の語句の関係はどうなっているでしょうか。「いつ…どうした」「どこで…どうした」「誰が…どうした」「何を…どうした」のように、それぞれが対応する関係になっているのがわかります。

文を作るキーワードが文末と対応関係になっていることが、日本語における文末の重要性の理由になります。このキーワードにはそれぞれの意味に基づいた役割があります。これらを束ねる役割を果たしているのが文末です。文末に至って、文の意味が確定します。

文末が「…ではありません」とあったら、積み重ねた言葉が否定されたことになります。「…かもしれない」ならば、それまでの内容が不確定だということです。文末には文の意味を確定する役割があって、文末が重要であることのもう一つの理由になっています。

 

2 後ろに重点のある形式

日本語の文で文末が重要なのは、(1)文末の前に置かれたキーワードを束ねる役割を持つこと、(2)文の意味を確定して文を終える役割を持つこと…です。日本語の文は文末に重心が置かれていて、その重心に向けて文が流れているということになります。

日本語の基本形式は、いわば、枝となるキーワードが、それぞれ幹と連結して束ねられている形式です。そして枝も後ろで束ねる構造になっています。たとえば「東の空の白い雲が」ならば、「東の空の…雲が」「白い…雲が」のように「雲が」が束ねる構造です。

日本語の場合、幹の場合でも枝の場合でも、重心が後ろに置かれる構造であるということになります。枝の場合、語順の変更は自由ではありません。「東の/空の/白い」の3つの語句の並べ方は6通りありますが、この場合、他の語順ではしっくりこないのです。

日本語の文は、文を構成する重要な語句(キーワード)を並べて、それらを文末で束ねる形式になっています。重要語句を説明する場合も、説明に使われる語句が一定の語順で並び、これらをキーワードが束ねる形式です。後ろで束ねる構造ともいえるでしょう。

 

3 3系統のキーワード

文の後ろに重点が置かれる日本語の場合、文末を作る「です・ます」「である・だ」の違いが、文形式の違いに反映されます。このとき文を構成する主要な枝(キーワード)の性格・役割の違いにも注意が必要です。それらの仕組みをどう考えるべきでしょうか。

「いつ・どこで」は条件となるTPOを示します。「誰が」は文の主役です。『主語』と学校では習ったはずです。「何を」は主役を補佐する語句に当たります。こちらは『目的語』と呼ばれていたかもしれません。ただ、主役を補佐する語句は他にもあります。

文構造をみるのに、主要な枝に当たるキーワードを、主役に当たる語句と、それを補佐する語句、さらに条件を示す語句の3系統に分けて考えてみたのです。それらを文末と関連づけて考えました。読み書きするときのアプローチに近いのではないかと思います。

⇒以上は、【「です・ます」「である・だ」の使い分け:「名詞文/形容詞文/動詞文」への疑問】…からのつづき

 

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