■手書きとタイピング:文章の標準化をめぐる問題点

1 パソコンなしでの仕事

週末からパソコンの状態がよくなくて、原因がわからないまま、不便な感覚を味わっていました。結局のところ、ディスプレーのコードの接続がわずかにおかしかっただけのようです。もう正常に戻っています。ささやかなことで、作業が滞ってしまいました。

自分はアナログ人間だと思う気持ちがありますが、もはやパソコンなしでの仕事は困難になっています。考えをまとめるときには手書きを重視しますが、文章にするときには、パソコンでの入力が便利です。もはや後戻りできないという感じをもちます。

手で書くかタイピングをするかというのは、文章を書くときの効率性の問題に関わってきます。タイピングの方が効率的だということです。このことは以前、「ビジネスと文章の近代化」でも書きました。PC入力の方が手書きよりも早くて疲れない手段です。

 

2 タイピングの日本語への影響

日本語の漢字かな混じり文をタイピングできるようになったことは、日本語にとって今後も大きな影響を与え続けるに違いありません。さらにタイピングしたあと印刷できるという有利な条件も加わりました。文章が活字で読めるというのは素晴らしいことです。

紙に印刷して活字で読むと、自分の文章が客観視できます。手書きの文章をそのまま見る場合、内容以上に文字の状態が気になるはずです。読みやすさや字の好みなど、内容とは別のことが気になります。やっと内容で勝負をする条件が整ったというべきでしょう。

日本語の一般的な表記法である漢字かな交じり文は読むのにとても効率的です。読みやすさの点で、きわめて有利な表記法だろうと思います。問題となっていた手書きするのに手間取ったり、手書きの読みにくさが解消されたことは、情報伝達の面で画期的でした。

文章で伝達しやすい環境が整ったとき、口語で文章を書く人が増えるのは自然な流れだろうと思います。相手が親しい場合、しゃべるように、親しみを込めて文章を書けば、相手に伝わるはずです。書く人の幅が広がり、社会全体で口語表現が力を持ち出しました。

 

3 文章の標準化の中心問題

他人とのやり取りで「拝啓」だの「前略」などが消え、手紙が電子メールに代わることによって、用件を伝達するスピードが速くなりました。スピードが速くなるだけでなくて、手間も少なくなり、その効果として文章の内容と形式が重視されるようになります。

親しい者同士の場合、普段の会話に近い言葉を使ったやり取りが自然でしょう。一方、学問やビジネスで使う文章の場合、相手をあまり限定せずに、原則として誰が読んでも伝わる文章でやり取りすることが求められます。こうした文章が書けるかが問題です。

不特定多数に向けて伝わる文章を書くことは簡単ではありません。しかし文章を書く環境はずいぶん整備されてきました。ある種の標準的な書き方が出来てきてもおかしくありません。実際、企業では文章や文書の標準化のために苦労していたところもありました。

文章を標準化しようとするときに大切なのは、文章の内容と形式に方向を与えることです。それは「誰に・何を・どう書くか」のルールを決めることにもなります。かつて見られた送り仮名の基準や数字の使い方のルール作りなどは大した問題ではありません。

標準化の中心問題は、言葉の選び方と並べ方、全体構成の仕方と文のつなげ方にあります。ルール作りというよりも、ルールの発見が必要です。大量にやりとりされる日本語の文章から、伝わりやすさを発見することが重要になっています。

 

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