■ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』再読

 

1 繰り返し読む価値のある60頁

アイデアに関する本の中でも、定番と言える本がジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』です。このブログでも、何度かこの本に言及しています。60頁ほどの本です。読むのにそれほど時間はかかりません。何度も読めますし、その価値はあります。

▼私がもう少し詳細に説明すべきだったことは言葉である。私たちは言葉がそれ自身アイデアであることを忘れがちである。言葉は人事不詳に陥っているアイデアだといってもいいと思う。ことばをマスターするとアイデアはよく息を吹きかえしてくるものである。

この本の終わり近くに出てくる文章です。続けて、[言葉はアイデアのシンボルなので、言葉を集めることによってアイデアを集めることもできる][辞書が短編小説集であるという点を見落としている]と書いています。あんがい読み落としがちなところです。

言葉を大切にするからこそ、[事実と事実の間の関連性を探ろうとする心の習性がアイデア作成には最も大切なものとなるのである]と言えるのです。事実と事実の関連性を探るときに使う重要な道具が言葉だということです。道具をどう使うのがよいでしょうか。

 

2 アイデアマン:公式を使いこなす少数者

ヤングは自分の貴重な公式を公開しても[アイデアマンの供給過多が起こるというような実際上の危惧はまずない]と読者を挑発します。なぜか? 簡単すぎる公式なので有効性を信じる人は少数だろうし、公式を使いこなすのは簡単でないからという理由です。

ヤングの結論は[アイデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の明確な過程であるということ、アイデアの製造過程も一つの流れ作業であること]ということになります。有効に使いこなすには修練が必要です。言葉の重視も前提条件になるでしょう。

技術の習得のために必要なのは[第一に原理であり第二に方法である]。原理は二つあります。[アイデアは一つの新しい組合せであるという原理と、新しい組合せを作り出す才能は物事の関連性を見つけ出す才能によって高められるという原理]です。

つねに二つの原理に立ち返りながら、[アイデアを作る実際的な方法あるいは手順]を習得していきます。[1] 資料の収集、[2] 資料の咀嚼、[3] 問題を無意識の創造過程に委ねる、[4] アイデアの誕生、[5] アイデアの具体化と展開…以上の5段階からなります。

公式を使いこなすのが難しいとヤングは言いました。5段階の中でも、どのあたりにポイントがあるのか、言及している文章の頁数を見てみるとヒントになるかもしれません。[1] 約10頁、[2] 約4頁、[3] 約2頁、[4] 約3頁、[5] 約2頁…となっています。

 

3 基礎となる「特殊知識」と「一般的知識」

資料の収集がきちんとできなくては、その先がありません。[私たちはいつでもこれをいいかげんでごまかしてしまおうとする]のです。集める資料は[製品と消費者に関する特殊知識と、人生とこの世の種々様々な出来事についての一般的知識]になります。

アイデアを出そうとする対象に関する資料(特殊知識)と、直接関係ない世の中一般の資料(一般的知識)の両方を組み合わせることでアイデアが生まれてくるとヤングは考えています。「製品と消費者」と書いているのは広告を例にしているからにすぎません。

アイデアとは[一つの新しいパターンを構成するということ]ですから、[心の中に蓄えられる世界の要素が多くなればなるほど][アイデアが生まれるチャンスもそれだけ多くなる]のです。だからこそ、資料の収集が重要だということになります。

特殊知識の場合、項目ごとにカードに記入していきます。継続すれば[きちんと整理分類された、あらゆる項目を網羅した、一つのファイル・ボックスをもつことになる]。一般的知識の場合、[スクラップ・ブックとかファイルのような方法が有益である]。

ヤングの方法をそのまま採用する必要はないと思います。ヤングの方法を参考にして、自分流のアイデアのつくり方を構築していくことが大切でしょう。単純明確な方法でありながら、よく考えられた刺激的な方法です。今後もまたこの本に戻ってくる気がします。

 

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