■人間を基準に業務を考える:業務マニュアル作成講座を終えて

 

1 業務システムの役割と評価

先週、業務マニュアル講座を行いました。講座の中で何問かの演習を行っています。いつものように演習中に、受講者の様子を見るために教室を回るうち、センスのいい方を見つけました。この人は仕事ができるだろうなあと感じさせる演習の出来ばえです。

この人から、いい質問をいただきました。いま会社の仕事を考えるときに、業務システムなしの業務ということは考えられない。この役割の大きくなった業務システムが行っている業務の処理を、どう評価したらよいのか…というものでした。

業務を見ていくときに、業務システムの機能をどう見ていくべきかというものです。システムが処理する業務の量が増えるほど、業務システムの機能が問われてきます。とくにシステムに関わる方々からすると、業務システムの機能がとても気になるはずです。

 

2 中心は人間が行う業務

業務マニュアルの作成講座では、講義中に業務フローを書く演習をしています。そのとき、業務システムを構築するときの業務フローとは違いますからね…と念を押すように言います。先の質問は、この違いをわかりやすく説明せよというものでしょう。

業務とは人間が行うものと考える視点と、業務とは処理される機能であると考える視点では、当然のように違いがでてきます。業務処理の機能から見る視点からすれば、業務を行っているのは人間だけでなく、業務システムという機械でもあるということでしょう。

業務マニュアルを作成する過程で必要とされる業務フローの場合、人が行うことを業務として見ていくことが求められます。これは業務システムを無視するということではありません。業務システムの行うことと、人間の行う業務を同列に扱わないということです。

 

3 人間ならではの業務こそ重要

重要な業務ほど、人間ならではの業務であるという発想で、業務を見ていくことがポイントになります。人間がなすべき業務と業務システムがなしうる業務が重なっている場合、どういう方向に進むべきか、お分かりになるはずです。これが大切な点です。

人間が行っている業務を抽出してみると、人間ならではの業務と、そうでない業務が見えてきます。人間ならではの業務に力を集中するために、業務システムを取り入れることがポイントなのです。必要十分な業務システムがあればよいということでもあります。

こうして人間の業務を見ていくと、逆に、業務システムに無駄なことまで処理させていることに気づくはずです。本当に必要なデータやその処理がどのくらいであるか、検討が必要になります。しばしば保存量や処理量が多いほどよいという発想に傾くのです。

人間の業務に注目して業務を見直していくこと。さらに業務システムが行っている業務処理が人間の仕事にとってどんな役割を果たしているかを検討すること。こうした点が見えてくるように業務マニュアルを作っていくべきである…とも言えるでしょう。

 

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