■文章を書くときに中核となるもの:自分の視点をどう盛り込むか

1 「5段階評価の2の人にも分かるように書け!」

前回、ドラッカーの言葉について書きました。講義を行うとき、やる気のある人に焦点を当てることが重要であることを指摘した言葉でした。これは講義についてのことですから、文章を書くときには、また別の発想が必要になってくるはずです。

実際、ご指導を受けている編集者の方から、5段階評価の2の人にも分かるように書かなくてはダメだと、繰り返し指摘を受けています。残念ながら、実行することは簡単ではありません。うまく行かないことばかりです。講義のときとは発想が違います。

「2の人に」というのは編集者の方にとって当然のことのようですが、どう書いたら伝わるのか、まだよくわかっていません。ただ、その前提になることが何かはわかります。言うべき内容がきちんと詰められているということです。これが前提になります。

では言うべきことをどうやって詰めていけばよいのでしょうか。内容を詰めていくと簡潔なものになります。詰めていくというのは、中核となるものが明確になっていること、それが的確に伝えられる内容であることと言い換えてもよさそうです。

 

2 「自分の視点を盛り込むことができるか」

中核となるものが明確になっていると楽です。文章を書くときに大切なものから書くという指針があります。大切なものとは中核となるものです。この指針が有効に働くのは、文章を書く人が中核となるものが何であるか、わかっている場合に限ります。

何が大切なことなのか、何が中核になるのか、わからないから困ることが多いのです。このとき、中核になるための条件がどういうものであるかを理解すれば、問題になる「大切なもの・重要なもの・中核となるもの」の内容が見えてくるに違いありません。

ひとまず中核といえるものが備えている条件からアプローチしてみましょう。川島蓉子は『ライフスタイル仕事術』で、仕事の師匠から教えられたことの中でも大切にしていることをあげています。[自分の視点を盛り込むことができるかどうか]ということです。

自分の視点を明確にするとは、どういうことでしょうか。何が必要なのでしょうか。[当たり前のことではあるが、何を言いたいのか、そのための要素をどう組み合わせるのか――いわば考え方の構造を作る重要性を、様々な角度から教えてもらった]とのこと。

中核になるものとは、その人の視点が明確になっているものであり、そのためには必要な要素を選び、その要素を組み合わせて考え方の構造を作ることです。畑村洋太郎が『創造学のすすめ』でいう通り、「要素」と「構造」から「機能」が生まれます。

 

3 「視点を磨く」ために必要なこと

こうした要素と構造から視点を明確にする方法は、川島の言う通り[徹底的に原理原則を貫いた話]です。こうした原理原則に基づいて「視点を磨く」ことが、中核を作ることにつながります。そのためにはどうしたらよいでしょうか。川島は簡単な指針を示します。

▼自分がモノやコトに対して「何をどう感じたのか」「それはどういう要因によるものなのか」を突き詰めて考えてみることだ。

これは「HOW」と「WHY」を明確にするということでもあります。じつのところビジネスならば、どういうものであるかを明確にすることが一番の基礎であり、そこから問題を発見することがその次に来ます。これは業務を見るときでも同じことです。

(1)「現在の業務がどうなっているか」、(2)「現状にどこか問題はないか」と考えます。そのあとで問題になるものとして、「それはどういう要因によるものなのか」がくるはずです。ただし原因・要因だけではビジネスの場合、足らないことがほとんどでしょう。

「解決策はあるか」「どうすればうまく行くか」を問うことが必要です。ビジネスでは、しばしば原因より解決のほうが切実なものになります。それが中核に置かれることがあるはずです。「WHY」に対して「HOW TO」ということかもしれません。

 

4 「あらゆる角度から工夫を凝らす」

ここまででも、川島が教えられた通り、「一生に及ぶほどの訓練を積む必要がある」ことでしょう。さらにもう一つ、[難解な言葉を連ねて煙に巻くような文章でなく、できるだけ平易でわかりやすい言葉でまとめること]が大切だと川島は指摘しています。

▼読み手に対して説得力のある文脈でわかりやすく伝えることも、視点と同じくらい大切なこと。自分だけわかっていても、相手に伝わっていないと意味がない。つまり、自分の考えを相手と共有するにはどうしたらいいのかは、あらゆる角度から考えて工夫を凝らす必要があると思う。

「5段階評価で2の人にわかるように」という編集者の人から教えられた指針は、これに通じるように思います。「あらゆる角度から工夫を凝らす必要がある」のでしょう。専門外の人に伝えようとしたら、よほどわかるように書かないとわかるはずないのです。

その前提として、自分がよくわかっている状態、自分の言いたいことの視点を明確にすることが基礎だろうと思います。[「だから何なのか」という結論を主軸に作れば、もっと簡潔でわかりやすいレポートにできるのではないか]。川島の言う通りです。

 

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