■ビジネス文書の構造(その2):マネジメントの視点

 

1 文書を書くときの視点

ビジネス文書の構造は、最初に重要な点や結論を書き、そのあとポイント説明をして、最後にまとめとなる展望や意義を書くのが標準的なものです。こうした構造はビジネスをどう見るかという視点の問題に絡んできます。前回、その点を書きました。

文書を書くときに、一段上の視点や本質的な問題を見出して、簡潔な形式で書くことが求められます。しかしそう言われても、具体的にどうしたらよいのかわかりにくいものです。文書を書くときには、その目的にふさわしい形式が求められます。

例えば法律文書ならば、法的三段論法を使って記述することがルールです。①法律・法令などの条文がどういうものであるのかを論じ、②具体的事例がどういうものと認定されるかを論じ、③法適用がどうなるかを結論として記述することになります。

刑法の分野ならば、刑法の視点で論述することが必要です。①法律の条文の規定に適用しているか(構成要件該当性)、②正当防衛などで違法性が問えない事例であるか(違法性)、③心神耗弱など責任が問えない事例か(有責性)…の順で審査したものを記述します。

ビジネスの場合も同様です。ビジネスのルールがありますから、そのルールに沿った記述をするということになります。その形式で記述するためには、それにふさわしい視点が必要だということです。必要なのはマネジメントの視点ということになります。

 

2 文書の簡潔さと内容の妥当性

ビジネス文書の標準形式は、最初に重要なことから書くということです。ここでいう重要なこととは、マネジメントの視点、観点からすると重要なものということになります。どういう見方に基づいて論じているのか、その視点が明確であることが重要です。

ドラッカーの「企業永続の理論」を参考にして大きな問題を考えるとしましょう。この場合、①現在のビジネスの環境を検討し、②何を成果とするかを問い、③それを達成するために自分たちの強みをどう生かすかが問題になります。

このとき対象に適合した視点であったなら、文書は簡潔にまとまるはずです。どう考えるかは、その時々の対象で変わってきます。考える視点によって、重要性に違いが出てきますから、どういう考え方で見ていくのかが重要なポイントです。

そのとき適合性を判断する基準として、第一に簡潔にまとまるかどうかが問われます。もし簡潔にまとまったならば、続いて内容・結論が妥当であるかが問題になります。簡潔性と妥当性は関連します。簡潔ならば、内容の妥当性を自分で検証しやすいはずです。

何が重要なのかわからないという人がいます。そこが問題です。ビジネスの場合、「どういう視点で考えるか」をその都度決めなくてはいけません。対象が変わるごとに考える視点を変えるのが原則です。どんなケースにも使える万能のフレームなどありません。

 

3 ビジネス文書における組織と個人の関係

何かを論じるとき、それをどう論じるのかが問題になります。極端な言い方をすれば、問題ごとに方法を案出する必要があるということになるでしょう。しかし、ビジネスあるいはマネジメントの世界では、それに先立ってもう一つ問題になることがあります。

ビジネスでは、仕事の目的を問うことが原則です。「いかに行うか」の前に、目的に焦点を当てて「何のために行うか」を問うことが求められます。そもそも私たちは何をやりたいのか、成果がぶれないようにするために、目的を問う必要があるのです。

目的を問うとき、そこに価値判断が入り込みます。「何のためにこれを行うか」という点に関して、正解がありません。どうあるべきかを考えるときには価値観が絡みますから、各人に違いがでます。これを組織は共通認識にする必要があるということです。

組織の進むべき方向を決め、仕事の目的を明確にしたならば、各人が考えるときの視点はそんなに混乱しません。業務マニュアルに「何のために行うのか」という目的を記述することが必要なのも、目的を共通認識にすることが大切だからです。

組織が文書を効率的・効果的にしようとするとき、各人の能力を問題にするだけでは限界があります。組織としての方向づけがなされていることが必要です。「何のために行うのか」という目的を明確にしていくことで、組織と個人の両輪がかみ合ってきます。

組織と個人の関係を考えると、ビジネス文書が大きく二つに分かれることも理解できることと思います。一つは、規約やマニュアルなど「組織から担当者各人」に向けての文書、もう一つは、報告書や提案書など「担当者個人から組織」への文書ということです。

ビジネス文書の構造を考えることは、どいう視点でモノを見ていくかということにつながります。組織である以上、目指すべき目的が必要です。文書がうまく利用できているということは、マネジメントがうまく機能しているということになります。

 

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