■2018年就職活動でのささやかな変化:専門領域に注目する企業

 

1 逆転が起こった今年の就職活動

2018年の就職活動はほぼ終わったように見えます。求人が多くありましたから、ほとんどの人が就職活動を終えています。「ほとんど」がどの程度かは微妙です。志望した業種ごとに状況が違うかもしれません。おそらく8割9割を超えている数字でしょう。

ごく最近まで、かなり優秀な人が就職活動をしていました。それなりの数の人が、まだ活動を継続しています。様々な理由から、自分の納得いくところから内定がもらえなかった人たちです。今年は特に学生、学校、会社といろいろな事情が絡みました。

私のかかわった学科でも、今週になって内定をもらった学生がいます。聞けばあああそこですかといわれるはずの組織です。優秀な学生が回り道しながら、やっと納得のいくところを見つけました。この間の学生の成長は素晴らしくて、ひと安心したところです。

回り道が本人にとって、とても勉強になりました。もうダメだと思っても、たいていダメではないのです。のんびりゆったりしている学生が多くなっていますから、必死に会社探しをしていなかった人もかなりいました。終盤にその人たちも本気になったのです。

遅れて内定をもらった学生の多くが、逆転したという感覚を持ったはずです。内定がもらえなかった会社よりも、これでよかったという納得とともに就職活動が終えられました。これは大切な経験です。メールの落ち着いた文面の中に喜びがあふれています。

 

2 専門領域に注目しはじめる企業

昨年まで、出遅れた学生の入れる会社は限られていました。活動の前半期から比べるとあまり人気のない会社になりがちでした。今年は企業側が、二次やその後の募集に積極的でしたから、遅れた人が難関の会社に入れたケースもめずらしくありませんでした。

たいてい遅れるのは個性派です。そういう中にかなり実力のある学生がいます。面白いほど、そのことを学校側は知りません。企業側もしばしば見逃します。一次募集でいい学生が採れたところは、そのあと安心して個性派につきあったのかもしれません。

ノーベル物理学賞受賞の米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授は「日本は研究者から選ばれない。上意下達が過ぎる」(2017年11月23日:ニューススイッチ 日刊工業新聞)というインタビュー記事で警告しています。

▼「日本は職位や性別、年齢、健康で差別がある。企業も採用試験で研究内容や専門性ではなく、部活動や趣味など、課外活動について尋ねる。研究者や技術者の人事選考で研究以外の経験で人物を選ぶ国だ。研究者や科学技術を尊重する社会ではない」

研究者・技術者に限らず、学生の場合でも専門領域の努力にあまり注目してもらっていませんでした。そこに変化が見られます。売れ残ったと自虐気味の学生が面接でふと漏らした言葉から、担当者が話を引き出して、それを社長に伝えた会社がありました。

学生はこのやり取りを平然と伝えてきましたが、ただ事でないと思いました。会社はこの人に新規のお店を持たせたいと思ったようです。社長と学生の都合を調整した特別な最終面接日が決まりました。何がしたいのかという学生の希望を聞く面接になったようです。

 

3 期待すべき遅れて入社する個性派

多くの学生が、自分の専門についての追及が不十分です。専門分野が評価されるということがわかってくれば、もっと専門化します。これは情けないことのように思いますが、学生は企業側の姿勢を見ているのでしょう。就職での評価を反映しているように思います。

学校側の対応はかなり遅れています。自己アピール文に、「私の強みは協調性のあることです」とか「努力することです」と書かせます。一部では強制的というほど強引に型にはめる人がいます。勝手に文を直して修正の指示を出す「先生」までいました。

こうした自己アピール文に特徴的なのは、専門領域の努力に触れていないことです。何のために学校で勉強したのかわからない文になるように赤が入ります。不思議です。すでに一部の学生が反乱を起こしています。こうした「指導」の終息を願うのみです。

性格重視という名のもとに、言われた仕事を素直にこなしてもらえればよいという就業のモデルはもはや終わりにしたいものです。学生が何をしたがっているのかにアンテナを立てないで入社させても、独創性を発揮しそうにありません。

独創的な学生は、たいてい個性派です。遅れて希望のところに入った中には、こうした個性派がかなりいます。あと数年こうした状況が続くならば、会社も日本も変わってくるはずです。今年、早く採用を打ち切った会社は損をしたかもしれません。

 

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