■OJTマニュアルと業務マニュアル・操作マニュアルとの関係:その1

 

1 3種類のマニュアル

現在、マニュアルに関する講座を3つ行っています。業務マニュアルの作成講座と操作マニュアルの作成講座に加えて、OJT・教育用マニュアルの作成講座が始まりました。ありがたいことに、これらすべてに参加くださる方がいらっしゃいます。

そういう方と何回かお話してみると、やはりと思います。操作マニュアルは講座を聞いてから作れました…とおっしゃいます。OJT・教育用マニュアルは講義中にできたので、これとは違うものをまた会社で作ります…とのこと。

ところが業務マニュアルはどうでしょうか。しばらくできそうにありませんとおっしゃいます。3種類のマニュアルの中で、作るのが圧倒的に難しいのが業務マニュアルです。作業手順書なら業務そのままですから作成は楽です。これはOJTの領域でもあります。

作業の詳細な手順はOJTに任せます。業務マニュアルに記述すべきものは業務のモデルと業務を行うときのルールが中心です。これらが書けたなら、そのまま業務改革につながります。業務マニュアルは業務モデルの管理ツールとしての役割も持っています。

簡単に業務マニュアルができないからといって、あきらめる必要はありません。ひとまず業務が回るようにOJTマニュアルから作り始めることです。実際、3つの講義を受けた人がOJTマニュアルの作成から始めていると言っています。

 

2 簡単にできるOJTマニュアル

OJTマニュアルの場合、たいてい1時間あればできてしまいます。そのため講義の中で作り方を解説して、そのあと講義の中で実際に作っていただきます。したがって講義中に作成の経験をすることになります。こんな簡単にできるのかというのが実感でしょう。

しかし、ほんのちょっとしたことが原因でできないということもあるようです。2年間きちんとしたプログラムができなかったのが、今回の講義中にできましたというお話をいただいたこともあります。たいてい小さなところでつまずいて、袋小路に入るのです。

OJTや教育用のマニュアルが作れるようになったら、習得が必要な作業手順を順次マニュアル化していきます。OJTの実施プログラムを作りマニュアルにしていきます。この作業を進めていって、あるところから業務マニュアルを作ればよいでしょう。

講義を受けた人から、その順番で進めていますという話があったのはありがたいことでした。実際に作ってみれば、これが合理的な進め方だとわかるはずです。まず目の前の業務を円滑にいくようにしながら、業務マニュアルの整備をしていくことが大切でしょう。

 

3 業務マニュアルに先行するOJTマニュアル

作業手順書は業務マニュアルの領域に含まれます。これは日常業務で必要な基礎的な業務の手順を記す文書です。実際に業務を習得する場合、簡単な文書だけでなく、しばしばOJTがなされているはずです。業務を早く習得するためには必要なことでしょう。

ビジネスの変化が早くなってくると、まだビジネスモデルにふさわしい業務の形になっていないけれども、そのときどきで目の前の仕事を処理しなくてはならないということが起こります。こうした場合、業務マニュアルがないまま仕事が進んでいきがちです。

こういときでも、何ができなくてはいけないかということを、把握しておくことが必要です。多くの場合そんなに職場の人が変化しませんから、記録がなくても何となく仕事が回ってしまうかもしれません。これが重なると悪い意味での属人化が進みます。

何をすべきかの項目だけでも記録しておけば、それが業務マニュアルの基礎になります。その具体的な習得のために、どうOJTを行うのがよいのか、そのプログラムを作ってポイントを記録しておくことで、OJT用のマニュアルの基礎ができます。

これは新しいビジネスのときばかりでなく、すでにある業務を記述していくときの過程でもあります。まず何をしなくてはいけないかをチェックして、個々の仕事の習得にOJTが必要な場合、その整備をしていくということが基本的な作成過程になります。

業務マニュアルとOJTマニュアルの関係で言えば、OJTマニュアルの作成が先行して、その後を業務マニュアルの作成が追う形になります。一方、操作に関する場合、まず操作マニュアルを作成し、その後OJTマニュアルを作っていくことになります。

(この項、つづきます。)

 

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