■改善提案の仕組み作りとその先の話:その2

 

1 付加価値を高めていくことが目的

上手な仕組みがあれば、アイデアを出してくださいと言うと、日本人の場合、圧倒的な量の提案が出てきます。現場での業務にかかわる人が、細かいことに気がつきます。業務の構築、運用、改善のうち、日本人は改善に関して圧倒的だろうと思います。

改善だけでは成果は不十分かもしれませんが、うまく行く確率が高い点が重要です。その上、ドラッカーも言うように、改善とイノベーションとは水と油ではなくて、両者は関連しています。ただ圧倒的な成果を出す場合、イノベーションと呼ぶべきでしょう。

そうした観点からすると、改善と呼ぶかイノベーションと呼ぶかということよりも、成果が大きくなるかどうかに焦点を当てて考えることが大切になります。日本人の得意な改善を生む仕組みを、さらに成果の上がるものにしていくことができないかが問題です。

前回ふれた意識的に改善から始めて、イノベーションにいたるプロセスを構想している事例も、成果をもっと上げたいという考えに基づいています。なかなか大変ですが、業務を高度化して付加価値を高めていくこと、その結果、高収益になることが目的です。

 

2 業務の再構築が不可欠

業務を3つに分けると、構築・運用・改善になります。マイケル・ポーターが日本企業について1990年代に指摘したことがいまもあまり変わっていないかもしれません。運用が深刻な問題になることはあまりないでしょう。改善は世界的です。問題は構築です。

構築の場合、ビジネスを体系化することが求められます。どういう方法で目的を達成するのかをモデル化しなくてはなりません。様々な要素を編成して、仕事の基盤となるモデルを作るのです。改善とはこの基盤に手をつけずに、小さな変更をするものと言えます。

体系化と体系的という2つの言い方があります。大雑把にいうと、体系化とは編成して構築するもの、体系的というのは仕組みを作ることでしょうか。両者は関連していますが、業務全体を作って回していこうとする場合、「体系化する」ということになります。

体系化というのは「する」ものです。体系的というのは作られたものの「状態」を言います。ポイントを絞った領域に対する小さな提案がたくさん出されて、その部分部分が修正された場合、より体系的になること、つまりよりよい状態になることはあります。

それをもう一歩進めようとする場合、業務の構築に手をつけることになります。小さな提案だけでは動きません。イノベーションに至るプロセスを構想する場合、業務の再構築を行うことが不可欠です。ここにリーダーの役割が出てきます。

 

3 構築モデルの改善

改善提案がすべて同価値でないことは言うまでもありません。その中に、構築につながる要素をもったものが必ず含まれています。リーダーは、それを意識して見つけることが大切です。それだけでは構築になりませんが、いい提案が連想を働かせてくれます。

私のアイデアはささやかなものです。(1)センスのいい提案をする人たちを集めて、業務構築を考える少人数のグループを作ること、(2)構築案をまとめる責任をリーダーが負うことを宣言すること、(3)構築案に対する意見を関係者に求めること。これだけです。

業務再構築の責任はリーダーしかとれません。構築のとりまとめの責任を明確にしておくことが大切です。経験があると思いますが、叩き台があるならば様々な意見が出てきます。小さな会社の例もリーダーがモデルを作って、これを叩く形式をとっていました。

いきなりこうしますと言うのでは、なかなか定着しません。そこでモデルを提示して、大枠はこれで行きます、これをさらに改善していきますので提案してくださいという形式をとります。業務を高付加価値化するために、どうしたらよいのか…と訴えるのです。

優秀なリーダーならば一人で再構築のモデルを作って、それを叩き台にすることも可能でしょう。ただ日本では業務の現場にセンスの良い人が必ずと言っていいほどいます。職場環境を良くして、それを引き出すことは十分に割に合うのではないでしょうか。

おわかりの通り、これでいきなりイノベーションが生まれる訳ではありません。しかし改善を繰り返すのに比べて、大きく業務を変えていくことができます。業務モデルに手をつけていくことが、業務の高度化に必要不可欠であることは言うまでもありません。

 

 

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