■業務の記述と業務の整理について:その2

 

[前回からの続きです。 ] ⇒ 【 その1 】

5 業務目的の確認が業務を変える

レジ業務は迅速で正確な会計を必要とします。これは間違いありません。しかしレジ業務にはそれだけではない意味があります。業務の目的を定義することが必要です。業務の目的を明確にする過程で、業務が変わります。どうすれば、お店の印象をよくできるのか、合理的な業務形態を考えることになるのです。

また人間である以上、ミスをゼロにできません。ミスが起こるリスクまで検討するのは当然のことです。迅速・正確な会計が可能になる工夫をすると同時に、頭の体操として、ミスをした場合、どう対処するのがよいかを考えておくことになります。ミスのときには誠実に対応するというだけでは不十分でしょう。

事前のシュミレーションにより、よい仕組みを考えられたなら、ミスがカバーできる可能性も高まります。このとき、全体の業務の中でこの業務がどう位置づけされるべきかを検討していきます。ミスの確率が極めて低い場合でも、シンプルな対処法を確認しておけば、究極の方法としていつか使えるかもしれません。

業務の目的を再定義することによって、レジ業務の重要性が認識されたなら、売上データを分析するだけでなく、業務の仕組みを再検討することになるでしょう。これは電話での予約や注文を受ける業務でも同じことが言えます。実際、コールセンターのスタッフを精鋭の社員のみにして成功した事例もあります。

 

6 業務の骨格作り

このように業務フローを作り、ポイントになる業務の目的を定義していき、また業務フローを見ていくという繰り返しになります。大まかな目的なら当初からあったはずですが、たいてい明確になっていません。それを記述の際に確認します。この確認作業の積み重ねによって、業務が見えてきます。

業務が見えてくるとは、業務の濃淡が明確になり、業務の枠組みが決まってくるということです。小さなスタートとゴールがもう少し大きなスタートとゴールに統合されたり、あるいは分割されることによって、業務の括りが変わります。中核になる業務の目的が明確になることにより、業務の骨格が明らかになるのです。

業務が無理のない安定したものであるかどうかは、業務フローから見えます。全体と部分の関係が、個々の記述と業務フローの組み合わせから感覚的に知覚できます。感覚でわかったあとに、それを検証しながら詰めていくことによって、ラフスケッチが、だんだん正確なスケッチになっていきます。

もうお分かりかもしれませんが、スケッチを正確にする原動力は、ポイントの業務がどんな目的をもつのかの確認をすることです。これで業務の骨組みがしっかりします。その結果、あいまいな部分が固まってきます。鍵になる業務の目的が明確ならば、その周辺の業務がどうあるべきかは見えてくるものです。

 

7 結果としての業務改革

こうした一連の過程をとるならば、業務の個々の仕組みも業務の濃淡も収斂してきます。業務ごとの一区切りの仕方、つまり業務の粒の大きさが見えてきます。それが業務フローにそのまま反映されますから、自分で業務を記述し目的を確認してきた人なら、業務フローを見れば業務が見えるでしょう。業務のチェックもできるはずです。

業務の粒をそろえることは、業務を記述するときに一番難しいものの一つです。そして感覚で決めるしかありません。頼りないようですが、業務に正解がない以上、公式的に決まらないのが当然です。業務の重要度を評価し中核領域が全体のどこに位置し、それを生かす業務になっているかという発想で確認することになります。

何を強みとし、それを生かす仕組みになっているかということが問題です。こうした視点が見えてくるのです。現状を見ながら繰り返し業務を記述していけば、だんだん業務が整理され、それが新しい業務の構築につながります。現状の業務を把握し、検証しようとする試みが、業務モデルを変えていくということです。

目的や目標まで含めた業務モデルの改善は、波及効果が大きくて、個別の業務の改善とは違った影響力が出てきます。業務モデルが変わり、目的・仕組みが変化すれば、業務は大きく変わります。先に業務改革があるのではなく、結果として業務改革になるということです。

 

8 業務モデルの改善手法

『リエンジニアリング革命』では、ビジネスプロセスを見直してプロセス・マップを作るという手法をとります。これとは違います。全体の業務の中にネックになるところ、ポイントになるところがあるという前提で業務を整理するだけですから、本に掲載されているようなきれいなプロセス・マップのようにはなりません。

業務の記述と整理でできた業務フローは、システムを作る方々が作るような詳細なものでもありませんし、一方、プロセス・マップほどシンプルでもありません。結果としてシンプルにできたらよいのですが、一気にカンナで削ったようにはいきません。業務の粒をそろえて、業務の流れが自然になるように整理するだけです。

現状を一つずつ確認していき、これでよいのかどうか、そういう問いかけを通じて、業務のモデルを改善していきますから、安定的な手法というべきでしょう。こうした現状の業務の構築を経験した人であるならば、業務モデルが有効性を持たなくなったときには、それに気がつくはずです。

大成功を収めたオーナー社長のように圧倒的な能力のある人が、スパッと改革をやってしまうというのとはずいぶん違います。ひどく地味な手法ですが、個別の業務を改善するのが得意な日本人にとって、業務を記述して目で見ながら、業務モデルを改善していく手法は、相性のよい手法ではないかと思います。

 

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