■組織活動の品質と業務の記述:TQCとTQM

1 日本でのTQC

友人がTQCとTQMというのは、どう違うのだろうかとつぶやいていました。実際のところ、世の中で使われる用語の意味に大きな違いはないように思います。TQMという言い方が主流になりつつありますが、TQCという用語が消えたわけではありません。

日本ではQCサークルが広く行われ、1950年代末から実際に効果をあげました。PDCAを回すという言い方は今でも使われています。PDCA自体、デミングセミナーにかかわった水野滋が提唱したものでした。西堀栄三郎がQCサークルについて書いています。

QCサークルのコントリビューションがいいことをしたというのは、参画精神を十分認めたということです。(中略)今までは女工さんとかは人間として扱われていなかったから、そんな人が不良の原因を調べるなんて、なんだ、黙ってろ。それは我々のようなエリートではじめてわかることであって、お前らみたいな学のない者が何を言うかという、ある意味で人種的差別をしていたんです。それを打破することができるようになったのは、参画精神の非常に大きなメリットだと思います。(西堀榮三郎『品質管理心得帖』1981年)

1966年、ジュランは三回目の来日の際にQCサークル活動を知り、QCサークルにモチベーション効果があると発表しました。こうしたQCサークルを全社的に行うようになったのがTQCであったようです。すくなくとも日本においてはそんな経緯がありました。

 

2 モノの評価基準としての品質管理

ドラッカーはデミングの知人ではありましたが、品質管理に対して冷やかでした。1966年刊の『経営者の条件』で[インダストリアル・エンジニアリングや品質管理など肉体労働者の仕事を測定評価するための手法は、知識労働者には適用できない]と書きました。

知識労働を評価するときに、[生産物の量や質で評価]する尺度は有効ではないというのがドラッカーの考えでした。[知識労働者が生み出すのは、知識、アイデア、情報である]ので[物的な生産物は生み出さない]、[それだけでは意味がない]のです。

知識やアイデアが何かと結びつかなくては成果が上がりません。知識労働者は[自らの成果を他の人間に供給する]ことが必要なのです。たとえば時計の機能は正確さだけでは不十分になりました。アイデアや知識が結びつかないと魅力的な製品はできません。

 

3 組織活動の品質と業務の記述

生産性や品質管理の手法はモノづくりの基礎になります。それゆえ[この100年間に多くを学んできた]。日本のQCは全社で取り組むことで「カイゼン」を進め、品質をあげるのに大きな成果を上げてきました。これが一般にTQCと呼ばれるものでしょう。

品質の向上は必要条件であっても、それで十分ではありません。市場でのシェアをとるために状況に合わせた判断が必要です。[組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外の世界にある]とドラッカーが言うとおり、組織の体制まで含めた問題になります。

こうした流れの中で、具体的なモノの品質管理に限らず、組織の仕組みまでを対象にして品質管理をするという考えが、TQMの基礎にあるようです。TQMというのは難しい概念だと、実践しているはずの組織の方が話してくれたことがありました。

組織活動の品質までを対象とするならば、業務を記述することが必須です。中心に置かれるべきなのは業務の記述でしょう。これによってビジネスモデルが明確になります。こうした発想はTQMのアプローチとは違うようです。たしかにTQMは難しい概念です。

*参照 ⇒ 「モデルチェンジの必要性:ドラッカーにおける洞察の背景」

 

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