■「知的生産の技術」再考:梅棹忠夫の先進性

 

1 まだ現役の本『知的生産の技術』

梅棹忠夫の『知的生産の技術』が出版されたのは1969年でした。その後もまだ生き続けていると言ってよさそうです。品切れにもならず、図書館の書棚に本が置かれ、若い人の中にもこの本を知っているという人がいます。まだパソコンなどない時代の本です。

「知的生産」とは[知的情報の生産である]と梅棹は言います。[工業の時代につづくつぎの時代の、もっとも主要な産業となるだろう]情報産業の中核を担うのが、知的生産です。「知識労働」と似ています。記述という形式の生産を中心にしているようです。

知的なものとは、論理をもって記述するということを前提にします。自然科学や人文科学というように科学的であることも必要です。「全ての学問の基礎になり、社会生活の基礎になるのは記述」という山崎正和の考えと同じことを前提にしていると考えられます。

梅棹は読書論に関連して[技術論と鑑賞論]は別ものだと言います。知的生産のアプローチでは、[どういう材料を、どう料理して、どのようにたべれば、本当に血になり、次の活動のエネルギー源になりうるかという技術論]を扱い、それを生産に結びつけます。

 

2 「分類するな、配列せよ」

梅棹によれば、本を読んだとき、本の内容をそのまま記述するのは、ただの作業です。本に書かれていることは本に任せて、読みながら感じたこと、思いついたことを記録しておくことが大切だと考えます。B6のカードに記録して保存するのが梅棹の方法でした。

記録しておく手段をB6カードに統一するのです。日常での思いつきも、このB6のカードに一枚一項目で記録していきます。これをカードボックスで保存します。問題なのは利用法です。必要に応じて組み合わせ、並べ替えるということが実行できませんでした。

梅棹はその後、『梅棹忠夫 語る』でこの本に言及しています。[(整理と分類は)ぜんぜんちがう。「分類するな、配列せよ」。機械的に配列や。それでいったらいいんや。大事なのは検索]。著者自身に利用法をひとことで語ってもらうと、こうなります。

 

3 検索の利用:採用しやすい環境

多くの人が挫折しながら梅棹の方法は、忘れられていません。いまだにB6のカードが京大式カードという昔の名前で売られています。しかしカードに記入する方法を、いまから採用するのは難しいでしょう。ポイントとなりそうなのは、「検索」することです。

カードに記入した順に、つぎつぎカードを並べていけば、機械的に配列されていきます。ここまでは出来ます。しかしカードが増えると、必要なものが見つかりにくくなります。300枚を超えたころから、どこに必要な情報があるのか見つかりにくくなってきます。

そのために梅棹の意図に反して、カードの分類をすることになります。しかしPCに入力しておけば、検索は楽です。見出しをつけて時系列に並べていけば、検索機能が利用できます。ワープロよりも、エディターを使ってgrep機能で検索をする方法が便利です。

梅棹が意図する方法を実践する場合、パソコンを使うと、かつてよりも圧倒的に有利に利用できます。本の中の大切なところも、入力しておけば検索がかけられますから、作業ではなくなりました。以上、当たり前だと思ったら、驚く人がいたので書いておきます。

 

 

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