■「何を行うか」を考えるためのリエンジニアリング

1 「何を」行うべきかが問題である

ドラッカー後期を代表する論文「企業永続の理論」(The Theory of the Business)の書き出しはこんな風です。[マネジメントの手法がこれほど数多く表れたのは、1940年代末から50年代初めにかけて以来である]。この論文は1994年に書かれたものでした。

手法の例として、[ダウンサイジング、アウトソーシング、TQC、経済的付加価値分析(EVA)、ベンチマーキング、リエンジニアリングなど]をあげています。[ただし、アウトソーシングとリエンジニアリング以外は、すべてが方法にかかわる手法である]。

いまでは「いかに」行うべきかよりも、[「何を」行うべきかが問題である]と論文は続きます。アウトソーシングは自社が行っている業務を外部に任せることです。リエンジニアリングは社内で行うべき手法になります。これは業務の記述が前提になる手法です。

 

2 知識労働に適用できない測定評価手法

『プロフェッショナルの条件』(2000年刊)の「はじめに」で、[事業の成否は、知識の有無に移行しつつあった。私がこのことに気づいたのは1959年だった。そこから生まれたのが、拙著『経営者の条件』(1966年)だった]とドラッカーは書いています。

その『経営者の条件』で、[インダストリアル・エンジニアリングや品質管理など肉体労働者の仕事を測定評価するための手法は、知識労働者には適用できない]と書きました。「いかに」行うかを測定評価できても、「何を」行うかには使えないからです。

こうしたドラッカーの考えからすると、リエンジニアリングは「いかに」行うかというよりも、「何を」行うかを対象とした手法だということになります。リエンジニアリングとは、業務プロセスの再構築をする手法です。業務の品質を判断する手法だといえます。

 

3 「プロセス・マップ」が作れなかった

TQMは難しいかもしれませんが、リエンジニアリング(BPR)は実行可能な方法です。1993年、ハマー&チャンピー著『リエンジニアリング革命』が日本でも翻訳され出版されました。この本の帯にはドラッカーの文章が記されています。次のような推薦文です。

本書は、企業の経営・業務を全く新しく作り直すための体系的な方法の原理を提示する重要な本である。ビジネス・リエンジニアリングとは何なのか、なぜそれが必要なのか、どのように行えばよいのかを、明瞭に、わかりやすく解説している。すべての経営者や管理職、専門家、意思決定に携わる人は是非とも読むべきである。

日本には90年代にBPRを試みて失敗した経験を持つ人がかなりいます。原因はたいてい同じです。「プロセス・マップ」と呼ばれる全社の業務フローを作り、これを見直すのがBPRの基本手法ですが、この「プロセス・マップ」がきちんと作れなかったのです。

作成は[組織の細かい単位を超えて思考することを要求されるため、頭の痛くなるような作業である]と前掲書にあります。これをいい加減に作ってしまったら、そのあと何をしてもうまくいきません。しかし作成方法について先の本でも説明されていないのです。

☆参照 ⇒ [ 業務マニュアル作成:業務記述の前提条件 ]

 

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