■ビジネス文の基本原則・基本構造:逆ピラミッド構造

 

1 新聞記事の逆ピラミッド構造

ハース兄弟の『アイデアのちから』に新聞記事の書き方が紹介されています。<新聞記者は、記事の冒頭に最重要情報を持ってくるように教え込まれる>。<大統領選挙の勝者やアメフト試合の勝者が最後の一文までわからなかったら、イライラするだろう>から。

<「リード」と呼ばれる冒頭文には、その記事の最も重要な要素が盛り込まれており、優れたリードは豊富な情報を伝えることができ>ます。<リードの後は、重要な情報から順に提示される>ことになります。これを「逆ピラミッド」構造と呼ぶそうです。

逆ピラミッドにすると、<読める時間の長さを問わず、リードしか読まない場合も、全文を読む場合も、最大限の情報が得られる>のが優れた点です。南北戦争のときに、通信回線がいつ中断するかわからなかったために、この構造ができたという説があります。

 

2 核となる部分の強制的な順位づけ

<よいリードが書ければ、あとは簡単>なのですが、プロでも失敗することがあります。<細部にこだわるあまりメッセージの核となる部分、つまり読者が重視したり面白く思うことを見失ってしまう>のです。紹介されている良いリードの実例を見てみましょう。

金曜日、四時間に及ぶ心臓移植手術により、17歳の健康な心臓が34歳のブルース・マレーの体内で鼓動し始めた。執刀医らによると、手術は順調だった。

米新聞編集者協会の賞を受けた記事のリードだそうです。新聞記事には日付がついていますから、「金曜日」でいつのことなのかわかります。誰から誰への心臓の移植なのか、手術の結果がどうなったのか、この短いストーリーの中に、すべてがそろっています。

優れたリードを書くには、核となる部分を見極める必要があります。<リードも核となる部分も一つしかない>のです。<通信回線が切断される前に電報を一本だけ打てるとしたら、何を伝えるだろう>、そう考えて「強制的な順位」をつけるしかありません。

 

3 構造を決める重要性の順位

こうした記事の書き方は、ビジネス文書を作成するときにも、そのまま使えます。この方法のどこが重要なのでしょうか。文章構造の作り方がビジネスの成果と直結する…という点が重要だろうと思います。ビジネス上の重要度が文書の構造を作るということです。

文書を作るとき、①文書に入れる部品選びと、②文書全体の構造設計…の2つが必要になります。どちらも大切ですが、「逆ピラミッド構造」は①を重視することによって、②が自ずと出来上がってくるというものです。最初のリードが文書全体の構造を規定します。

一番重要なリードの構造は「いつ・どこで・誰が・どうした」というシンプルなものです。それさえしっかり決めてしまえば、あとは楽になります。少ない要素の組み合わせですので、要素を提示する順番に決まりはなさそうです。もう一つ事例を見てみましょう。

 

4 評価されるのは内容の重要性

エルサレム、11月4日―イツハク・ラビン首相が今夜、ユダヤ教右派の過激派に銃撃され死亡した。10万人以上が参加したテルアビブでの平和集会からの帰途だった。イスラエル政府と中東和平プロセスは大混乱に陥った。

「どこ:エルサレム」、「いつ:11月4日」、「誰:ラビン首相が」、「どうした:銃撃され死亡した」…となります。ここに、「どういう経緯で起こったのか」「その結果どうなったのか」が加わって、約100文字で独り立ちしているリードを形成しています。

このリードが協会の賞を受けた理由は、文章表現のすばらしさ以上に、記された内容の重要性にあるように思います。重要な内容をしっかり文章化したことが評価されたということでしょう。つまり読む人をひきつけたのは、内容の重要性だということです。

ビジネス文書の中でも報告書や提案書などの文書は、「逆ピラミッド」構造で書いていくのがよいだろうと思います。他の人の気づかなかった重要な点を見出して、それが成果につながる内容であることを示すことが、文書の価値を決めることになります。

参照: 読まれる文章の書き方 (←日本のビジネス雑誌・編集長の文章術)

 

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