■もう一度ヨーロッパを考える:イギリスのEU離脱に関連して

1 意外でないイギリスのEU離脱

就職が決まってほっとしている学生達の横で、まだ心配顔の学生が就職活動を続けています。同時に、来年の学生の就職状況がどうなるかも心配です。ご存知のように6月23日にイギリスがEUから離脱しました。今後の世界情勢が見えにくくなっています。

一部の学生がどうなるのだろう…という感じで話題にしていました。詳細なことは誰もわからないと思います。ただ、EUの仕組みにもともと無理がありましたし、時期はどうであれ、イギリスのEU離脱はいずれ起こることと認識されていた問題でもありました。

例えば、2015年5月に出版され広く読まれた『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』で、エマニュエル・トッドは、いつかイギリスがEUから去ると思いますか…と聞かれて、<もちろん!>と答えています。離脱自体にそう意外性はありません。

 

2 歴史の流れと付加価値

業務を見て行くとき、ビジネス環境を意識する必要があります。とくに2つのことを気にします。一つは、当該ビジネス・業務が、歴史の流れにそっているかということ、もう一つは、当該ビジネス・業務が付加価値のつく方向に向かっているかということです。

ドラッカーは、肉体労働(manual work)がダメになる理由として、社会的な敬意がもたれなくなったから…という点を挙げています。仕事に対する敬意がなくなったら、いずれ優秀な人が従事しなくなりますから、仕事の形態を変えなくてはなりません。

歴史の流れを見て、大きく方向が変わりそうなときには、個々具体的なものを見ていても、よくわからないことが多いようです。それよりももう少し大きな視点でものを見ること、ものを考えることが必要になるように思います。

 

3 EUの枠組みを見直す契機

今回、イギリスがEU離脱を決定したことにより、今後が見えなくなりました。さまざまなことが決まらなくなりますから、積極的な投資がしにくくなるでしょう。当然、イギリスは経済的に苦しくなるはずです。しかしご存知の通り、EU側も磐石ではありません。

トッドは、<フランソワ・オランドはフランス人たちから軽蔑されている。なぜならドイツに服従する男だから>と語っています。オランド首相の任期は2017年まで、支持率は10%台の歴史的な低さです。フランスでもEU離脱が問題になる可能性があります。

イギリスのEU離脱宣言は、イギリス問題という以上に、EUの枠組みを見直す契機になるかもしれません。今後のEUが具体的にどうなっていくのか、今のところ誰にもわからないでしょう。こういうときこそヨーロッパというものを考える必要がありそうです。

 

4 もう一度ヨーロッパを考える

もう一度ヨッロッパを考えてみようと思って、引っ張り出してきたのが、増田四郎『ヨーロッパとは何か』、木村尚三郎『歴史の発見』です。前者は古代からのヨーロッパの成り立ちを明らかにし、後者は現代を形成してきた欧州の歴史的流れを論じています。

『歴史の発見』には<10世紀までの時代は、いわば西ヨーロッパの「前史」ないし「先史時代」である。そして歴史は、11世紀から始まる>とあります。たまたま前者が前史を語り、後者が11世紀以降を語っています。今回はじっくり読んでみるつもりです。

2冊はヨーロッパ大陸を中心に論じています。これに先立ちイギリスを中心に論じる渡部昇一の『アングロサクソンと日本人』を読んでみました。今後のヨーロッパの動きがどうなるのか、情勢を見ながら、ヨーロッパそして世界を考えるよい機会だと思います。

 

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