■アイデアを出すための道具:『フェラーリと鉄瓶』を参考に

 

1 言葉と手を道具にする

奥山清行はフェラーリのデザインをしたことで知られる工業デザイナーです。仕事の経験から、イタリア人がアイデアを出す様子を『フェラーリと鉄瓶』に記しています。イタリア人はアイデアを出すための道具として、「言葉」と「手」を使っているとのこと。

イタリア人は、<いろいろなことを話しているうちに、自分でも具体化していなかった要素を会話の中から見つけ出し、それをどんどん洗練させていくのが得意>で、<自分の潜在意識から言葉を使ってアイデアを引っ張り出している>…ようです。

文字を書き、絵を描く<「手」も、重要なアイデア出しの道具です>。たくさんの線を描くうちに<思っていたよりもはるかに高いレベルで、自分が漠然と考えていたことを具現化している><自分が予想もしていなかったアイデアに導いてくれる線>が生まれます。

 

2 予想外のレベルを見出す

奥山は、<人間の手は100%脳がコントロールし切っているわけではありません。時々、予想外の動きをすることがあって、それを目で見て脳にフィードバックすることが、新しいアイデアのヒントになる>…と重要な指摘をしています。

<「これは予想していなかった線だけど、おもしろいじゃないか」と判断して、さらにその先に進めていくと、すごいアイデアに結びついたりする>のです。<コンピュータは使う人が命令した通りにしか動かないから>、手と同じ効果を求めても無理があります。

(1)たくさんの線を描き、(2)その中に予想外のレベルの高いものを見出して、(3)すばらしいと判断して、その先に進めて行く…ことが重要です。<まるで手の先にもう一人の人間がいて、アイデアを導き出してくれるかのようです>と奥山は言います。

 

3 量と時間が必要

文章を書くことも、同じ作用があるようです。<自分の中で「こういうことを書きたい」という思いはあっても、文字をある程度あらすじ的に配置して、それを動かして間を埋めていくうちに、ようやく自分が本当は何が書きたかったのかがわかることがあります>。

<いきなり霧が晴れて全部が見え>るのではなくて、<模索するうちに少しずつ見えてくる>のがよいようです。<少しずつ見えると、その段階ごとに試行錯誤ができて>、これかあれかと、<自分で取捨選択しながら先に進んでいけ>ます。

言葉や手(絵や文章)を使って生まれてくるものに対し、意識的に<いろいろなアプローチでアイデアを取り出していく。そういうことが自分の中で自由にできるようになる>、つまり<アイデアを引き出すための道具やプロセスをしっかり理解>することが必要です。

そのためには、<言葉が多く、話す内容が大量>、絵も文章も<桁違いの量に膨らませて、その中からいいものを選び、さらに磨きをかけていく>こと、さらに<生活の中でその時間を持てるように工夫することも必要>であると、奥山はその要諦を語ります。

 

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