■業務の記述のために:業務マニュアル講座から

 

1 鳥の目が必要

先週、業務マニュアル講座を行いました。年度末の忙しいときに、たくさんの方が受講してくださって、ありがたく思います。男性女性がほぼ同数で、どちらかと言うと、若い方が多くいらっしゃいました。今回、テキストを大きく変更しています。

業務マニュアルがどういう文書であるのか…の確認からはじめました。報告書や提案書などは現場の担当者から組織に向けての文書です。業務マニュアルの場合、組織から担当者に向けてのメッセージになります。方向が逆です。

業務マニュアルを書く人は、組織からのメッセージを書くことになります。そのため業務マニュアルを記述していく場合、経営の視点をもつこと、マネジメントの視点をもつことが必要になります。なぜその業務を行うのか、鳥の目で見るということです。

 

2 業務には正解がない

業務は変わって行きます。業務には正解がないからです。したがって、業務の変化を前提にして、業務マニュアルを作って行くことになります。業務の仕組みがわかりやすく記述されていたら、もっとよい業務の仕組みに変えていくことが容易になります。

この点で、操作マニュアルを作る場合と違います。操作には正解がありますから、それをいかにわかりやすく記述するかということになります。作成された操作マニュアルの改訂は、そんなに頻繁には起こりません。小さな修正にとどまるはずです。

業務マニュアルは、つねに修正されていくべき存在です。業務自体が、はじめから修正を前提にしています。業務をどういう手続きで変更していくのか、その変更の仕組みを記述することも、業務マニュアルの役割になっています。

 

3 小さく作り出すこと

業務マニュアルを現在作成している方から、ご質問がありました。業務マニュアルを作ろうとして完成できなくて、何度も挫折しているというお話です。これはよくある話です。いきなり完全な業務マニュアルを作ろうとして、労力に耐えられなくなるケースです。

多くの作成者が自分の担当する仕事を持ちながら、その一方で、業務マニュアルを作成しています。そのこと自体、悪いことではありません。実務の感覚のある人が作成することは、よいことです。しかし、そのために使える時間もエネルギーも限られています。

ときに、ここまで労力をかけて業務マニュアルを作成しても意味がないという気持ちにもなります。こういう場合、まず簡単な業務フローだけでも作ってみるとよいでしょう。それだけでも、あったほうがよいことが実感できるはずです。

まずは業務の全体像を作る作業が重要です。はじめに業務フローを作っていき、それをベースに業務マニュアルの必要性が高い領域から、徐々に作っていくのが現実的でしょう。小さく作り出すことが大切なのです。そのほうが効果があります。

 

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