■ドラッカー The Theory of the Business 「企業永続の理論」再論:GMの事例

1 「企業永続の理論」とGM

マネジメントを論じる人の中でも、ドラッカーは抜きんでた人でありつづけるだろうと思います。ドラッカーの著作から今後も学び続けることになるはずです。ドラッカーの強みは、理論だけでなく具体的な組織についての分析が的確な点にあります。

細かい視点でなくて、大きな視点から組織の方向が示されています。先日扱った「The Theory of the Business」(企業永続の理論:1994年)でも、IBMとGMの両方の例を示しながら、GMのほうがより一層深刻であることがわかるように書かれています。

その後、IBMはガースナーの改革で事業の再定義を行い、業績を急回復させていきましたが、GMは、2009年に連邦倒産法第11章の適用を申請して国有化されました。その最大の原因は何かを考えるとき、「企業永続の理論」が重要になるだろうと思います。

 

2 『企業とは何か』1993年版の序文

ドラッカーは1954年刊行の『現代の経営』に先立って、1946年に『企業とは何か』を出しています。GMに招かれて1年半にわたって調査した結果生まれた本でした。ドラッカーがマネジメントを構築するときに、GMは特別な役割を果たしたと言えそうです。

『企業とは何か』の1993年版に寄せた序文をあわせてみると、「企業永続の理論」での見解が明確になります。序文で、<GMは今日、成功体験を乗り越えることの難しさ、独占的大企業の思考パターンから抜け出ることの難しさを示している>と書いています。

そのポイントは、<自動車メーカーとしての活力を回復しない限り、問題は解決しない>のに、<多角化という昔ながらの愚策に頼り、「本業がうまくいかなければ何も知らない事業を買収しよう」という昔ながらの対応策>をとっている点にあると指摘しています。

おそるべきことは、この序文の最後にGMの将来を危惧して次のように書いていることです。<問題の解決は何らかの破局がない限り不可能なのかもしれない>。この序文の翌年に書かれた「企業永続の理論」は、こうした認識の延長線上にある論文です。

 

3 ドラッカーの処方

GMは、<業績はよいが成熟しきった会社を買収し、一流の事業に育て上げるという他の会社にはない強みをもっていた>と「企業永続の理論」で指摘しています。<乗用車部門が麻痺的な状態にあった>1980年代初期から、それ以降も企業買収を続けていました。

<GM一筋30年という財務の人達が><GMの仕事の仕方をそのまま適用しただけ>で買収は成功したのです。GMは、<市場についての前提と生産についての前提を完全に適合させた>ために、<数十年にわたって隆盛をきわめた>強みをもっていました。

製造プロセスの財務的なコントロール(近代的な原価計算)と、投資についての意思決定手法の開発(投資評価の手法)があったのです。しかし、<自動車市場の区分や自らの強みについての前提が、効力を失っていることに>気がつかなかったということでした。

ドラッカーの処方は、<明快で一貫性があり、焦点の定まった>「事業の定義」が必要だというものでした。具体的には、(1)収益を上げる領域・分野を明確にし、(2)達成あるいは問題解決の基準を決め、(3)強みを発揮する仕組み・ループを作る…ことが必要です。

 

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