■戦略という用語をめぐって:『P&G式「勝つために戦う」戦略』を参考に

 

1 戦略を練る

戦略という用語は、目的を目標に変える作用をすると書きました[経営にシンプルさが必要な理由]。どうやって目的を達成するかを決めるのが戦略であり、その結果が目標です。戦略という用語は様々な使い方がなされますが、基本は、こうした趣旨でしょう。

以前、資格試験を受けている人たちの集まりで、勉強法について簡単なお話をしたことがあります。「皆さんの目的は、試験合格です。これは変わりません。しかし、どうやって合格するかを考える場合、戦略を練るというように、苦労するはずです」…と。

こういう方法で合格するという指標が目標だとお話しました。テキストを選択し、マスターの仕方を考え、模擬試験での判定をいくつまで上げて、どういう状態になったら合格できるかを探る必要があります。こうした指標が目標になります。

 

2 戦略とは何か

P&GのCEOだったA・G・ラフリーは『P&G式「勝つために戦う」戦略』の序論で、有効な戦略をとらないで失敗する事例をあげて、「戦略とは何か」を問うています。第1章のタイトルが「戦略とは選択である」です。戦略を一言で表現しています。

目的を達成するのに、どういう達成の仕方を望むかを考えることからスタートします。<企業は、任意の場所で任意の勝ち方による勝利を模索しなければならない>のです。目的の達成の仕方を絞り込んで、達成の基準を作ります。これが目標です。

目的を目標に変えるのが戦略であり、目標を達成するための手段を考えるのが戦術です。こうした基本を押さえて、世の中の戦略の本やマネジメントの本を読んでみると、意外に用語があいまいに使われていることに気づくはずです。

 

3 5つの選択モデル

その会社の仕事の仕方は、手段に当たります。それを見直すとき、目標を確認し、目的を確認することになります。業務マニュアルを通して、その会社の業務の構造を見て行くと、戦略も戦術も、あいまいな概念のままでは有効性を発揮しないことがわかります。

A・G・ラフリーは、5つの選択モデルを示します。①勝ち方の決定をし、②どこで戦うかを決め、③勝つための方法を選択して、④そのために必要な能力を問い、⑤それを支える経営システムがどんなものであるかを問う…という独自のものです。

この本の扉に、<本書はわが友人であり師である ピーター・ドラッカー(1909年~2005年)に感化されて生まれた>とあり、謝辞には<1980年代にマイケルの戦略論を採用したことで、P&Gは戦略的に発展し、私たちの戦略理解も進み始めた>とあります。

マイケルとは、マイケル・ポーターのことです。『イノベーションと企業家精神』の最後でドラッカーは、起業家戦略に関する最も有益な本としてポーターの『競争の戦略』をあげています。ラフリーの本は、経営者が書いた最も基本を押さえた本の一つといえます。

 

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■戦略という用語をめぐって:『P&G式「勝つために戦う」戦略』を参考に への2件のフィードバック

  1. 天井 のコメント:

    目的、目標、戦略、用語を私もあまり意識せずに使っています。反省です。今会社のビジョンを策定中です。このビジョンという用語も曖昧なところがありますね。言葉、大切にします。

  2. 丸山有彦 のコメント:

    コメントありがとうございます。業務マニュアルを作ることを考えると、文書に残すという発想が強くなります。考える基準がぶれないように、用語をシンプルにして使うのが有効だと思います。少し前、経営者の方から、「ビジョン」と言われてもわからないから、ウチでは、この言葉は使わない…と言われました。社内の共通認識が形成しにくいということだろうと思います。ただ、出来上がったビジョンの内容がよかったら問題ないですね。

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