■よい文章の定義:『高校生のための文章読本』から

 

1 凄い「よい文章」の定義

良い文章とはどういうものか、一言で定義するのは難しそうに思います。しかし、あっさり定義してしまって、簡単に否定できないくらい安定したものが『高校生のための文章読本』にあります。「これは凄い定義である」と村田喜代子は保障します。

<良い文章とは、①自分にしか書けないことを ②だれが読んでもわかるように書いた文章>…というのがその定義です。個性的・主観的なことを、普遍的・客観的に書くことが、よい文章だということになります。たしかに凄い定義です。

ビジネス文書の価値は、スピードと内容の実質にかかわります。必要条件は、簡潔・的確です。内容の実質とは、先の定義のうちの、<自分にしか書けないことを>書く…という点が重要です。的確とは、<だれが読んでもわかるように>書く…ということです。

 

2 ビジネスの反復性と一回性

よい文章の定義が、そのままよいビジネス文書の定義とはならないかもしれません。ただ、大いに参考になります。また基本は大きく違いません。業務の成果が、業務を行う人に依存する点で、その人にしか書けないことが必要となります。

「業」というものは、反復性が必要です。業務は反復されることが前提とされています。しかし、その反復は、全く同じことの繰り返しではありません。どんなビジネスであっても、そのときの一回性を含むことになります。

同じ私であっても、昨日の私と今日の私は違っていて、明日の私も今日と違うはずです。その意味で、「いつ」という条件は業務には必須のものだといえます。「どこで」も同じです。「どんな場合」も関わってくることが多いはずです。

 

3 レベルの高い意識が必要

「いつ・どこで・どんな場合」というのがTPOになります。こうしたデータを前提とした上で、さらに自分にしか気がつかないことを見出したなら、「よい文章」=「価値のある文書」になるはずです。

ビジネス文で、いつでも自分にしか書けないことばかりを書こうとしていたら、時間がかかりすぎてしまいます。大切なことは、重要な変化を見出すこと、見落とさないようにすることだろうと思います。この意識が改善を生み、改革を生むはずです。

せっかく業務を行ったのなら、ときには自分しか書けないことを書かないでは気がすまない…という気持ちが必要なのでしょう。それをいかに誰にでもわかるように書くか、こちらも難問です。わかりやすい定義ですが、実践するには高い意識が必要となります。

 

 

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